音楽は仕事ではなく、生活そのもの

山口さんにとって、仕事と日常で分かれるものではない。暮らしと地続きにあるものだ。
「僕は音楽をやっていますけど、音楽を『仕事』だと思ったことがないんですよね。だから、音楽を聴くときも作るときも、基本的には楽しんでやっているんです」。
小学生の頃から本ばかり読んでいたという山口さんが、音楽の力を意識したのは、国語の授業での出来事だった。うまく朗読できなかった同級生が、授業後には光GENJIの『ガラスの十代』をすらすらと歌ってみせた。その姿に強く惹かれたという。
「自分が『美しい』と思う言葉を、みんなに覚えてもらうには、音楽が一番いいんじゃないかと」。

しかし、音楽と真摯に向き合うがゆえ、ときに離れたくなることもある。
「音楽って、ある種グリッド(構造)のあるものだと思うんです。横に流れていく時間のなかに枠組みがある。そのグリッドにずっといるからこそ、彷徨う瞬間があるんですよね。“トンネルの中でいたい”みたいに。そんなときは自然の音に身を置いてリセットします。海の音とか、川の音とか。僕はサウナも好きなんですけど、そういう時間にすごく近い感覚かな」。
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