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2026.03.30

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ハリー・ポッターに憧れた少年が、塩職人になったワケ。エリート高校を中退、単身修行の道へ


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「The BLUEKEEPERS project」とは……
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高校卒業を待たずに天日塩を手掛ける塩職人の道へ。淡路島の師匠のもとでの修業後は、知多半島で海水を採取しながら地元・愛知県で塩づくりに励む。

職人数も減少する狭き領域。それでも足を踏み入れた理由には、低い自給率への危機感があった。

安定した社会生活に、塩は大きく貢献している

12月の取材時は寒々しい空が広がり、北風の吹き荒ぶ冬らしい1日に。それでも内田さんは意に介せず両手にポリタンクを持って海の中へ。たっぷりと塩の源である海水を採取して笑顔で戻ってきた。

12月の取材時は寒々しい空が広がり、北風の吹き荒ぶ冬らしい1日に。それでも内田さんは意に介せず両手にポリタンクを持って海の中へ。たっぷりと塩の源である海水を採取して笑顔で戻ってきた。


もし、塩の供給がストップしたら。「令和の米騒動以上に社会は混乱するでしょう」と、塩職人の内田さんは強い懸念を示す。自給率がとても低く、およそ11%であることが理由だ。
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とはいえ普段の生活で塩を使う場面は料理のときくらいで、多少手に入りづらくなっても困らないのではないか。そんな思いも抱くが、実は日本の塩の年間消費量は約780万トンで、食用は約74万トンと1割程度しかない。食の領域以外での需要が大きいのだ。

高い水質レベルを誇る知多半島の突端のビーチで、この日調達した原材料。

高い水質レベルを誇る知多半島の突端のビーチで、この日調達した原材料。


「エネルギー資源をはじめ原材料の多くを輸入していますが、塩も国内の生産量は非常に少ない状況です。消費の大半は化学工業用で、食塩水から塩素や苛性ソーダを製造し、そこから塩化ビニル(PVC)、紙・パルプ、石鹸・洗剤、アルミニウム、医薬品、水道水の消毒用塩素などが生まれます。

雪国では、降雪時の道路に散布する融雪剤としても重用されていますし、いわば塩は社会を支える重要な存在。輸入に大きく依存する塩の供給がストップしたら社会が機能しなくなるのです」。

海水でいっぱいになったポリタンクをクルマに積み込み、1時間ほどをかけて名古屋市内の自宅へ。庭に併設したビニールハウスが天日塩づくりの現場となる。

海水でいっぱいになったポリタンクをクルマに積み込み、1時間ほどをかけて名古屋市内の自宅へ。庭に併設したビニールハウスが天日塩づくりの現場となる。


米は国が備蓄しているが塩は民間頼り。そこにも気付きいっそうの危機感を覚えた内田さんは、「勉強はいつでもできる。今やるべきは塩の自給率を上げることだ」と通学していた高校を退学。大学も「行きたければいつでも行ける」と進学を先送りした。18歳の決断だった。
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