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果糖が招く負のスパイラル

果糖の過剰摂取が招くのは、「太りやすさ」だけではない。脂肪が増えるとインスリンの働きが低下し、糖尿病の予備軍となるばかりか、代謝の過程で思わぬ影響も現れる。
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「果糖が分解される過程では、エネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が大量に使われます。この代謝が進む過程で『プリン体』が生成され、その最終産物として尿酸ができやすくなるのです。 

さらに、インスリンの働きが悪くなると、膵臓はそれを補おうとして分泌を続けます。この過剰なインスリンが腎臓に作用して尿酸の再吸収を促してしまうため、尿酸値はさらに上昇。結果として、激痛を伴う『痛風』を発症してしまうこともあります」。

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内臓への深刻なダメージもさることながら、果糖は我々の「食欲」そのものを狂わせてしまう。

「果糖はブドウ糖に比べて、食欲を抑えるホルモンの分泌が弱い傾向にあるとされています。だからどうしても摂りすぎてしまう。こうした状態が続くと、インスリン抵抗性(=インスリンが効きにくくなること)がさらに強まり、脂肪肝も悪化していきます」。

果糖に潜む老化の罠

さらに衝撃的なのは、果糖が「老化」に与える影響だ。

「体内のタンパク質と余分な糖が結びついて、AGE(終末糖化産物)という老化物質を作り出す現象を『糖化』といいます。果糖はブドウ糖と比べて、この反応を起こしやすいことが知られています」。

糖化が起こるのは、糖の構造が直線上に開いていることが関係しているという。

「ブドウ糖の多くは輪のような構造をとっていて、そのままではタンパク質と結びつきにくいのですが、果糖は直線状の構造をとる割合が高い。そのため、ブドウ糖よりも数倍以上タンパク質にくっつきやすく、AGEを生成しやすい性質を持っているんです」。

AGEが蓄積した体は、心血管疾患や骨粗しょう症、さらには認知機能の低下などとの関連が指摘されています。

「意外かもしれませんが、精子は果糖を主なエネルギー源としています。ですが、果糖の濃度が高くなると、AGEの蓄積や酸化ストレスによって精子の運動能力が低下したり、傷ついたりするリスクがあることが報告されています。男性不妊の一因になる可能性も指摘されているのです」。

身近な食品に多く含まれる「果糖」

では、我々は何からそんなに多くの果糖を摂取しているのか。

山岸先生が「圧倒的に気をつけるべき」と警鐘を鳴らすのが、炭酸飲料や野菜ジュースなどの甘味飲料だ。これらの飲料には、トウモロコシのデンプンから人工的に作られた「異性化糖」が含まれている。

「飲料水の甘みの多くは、果糖です。この果糖は、デンプンから作られたブドウ糖の一部を酵素で人工的に異性化することで作られます。果物や野菜を丸ごと食べる場合と違い、ジュースは製造過程で多くの食物繊維を失います。糖類の吸収を妨げるものがなく、かつ、液体でもあるため、短時間で大量に摂取でき体に素早く取り込まれてしまいます。結果として糖類の過剰摂取につながりやすい点が問題です」。



意外だが、夏場や運動時に何気なく手に取るスポーツドリンクにも、多くの糖分が含まれているという。

「一般的な500mlのスポーツドリンクであれば、約30gの糖分、角砂糖でいうと約8〜10個分含まれています。1本ガブ飲みすると、およそ約8〜10個分の角砂糖をボリボリつまんでいるようなものですよ」。

さらに異性化糖は、ジュースだけでなく焼肉のタレやドレッシング、納豆のタレなど、身近な食品にも広く使われている。健康のためにサラダを食べているつもりが、ドレッシングに含まれる糖質で、気づかないうちに摂取量が増えているかもしれないのだ。
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