
寒〜い季節の食卓の強い味方といえば鍋料理。実は工夫すれば、満腹になるまで食べてもダイエットができる優れたメニューなのはお気づきだろうか。
「鍋料理はいいことだらけで、何からお伝えしたらいいかわからないほどです」と語るのは管理栄養士の吉谷佳代さんだ。そんな万能献立を“冬のモノ”と限定するのはもったいない。
では、どうやって「鍋ダイエット」を行えばいいのか。吉谷さんに教えてもらった。
話を聞いたのは……
吉谷佳代⚫︎管理栄養士、日本栄養士体育協会公認スポーツ栄養士。健康食品開発やスポーツサプリメントの研究開発に携わる。プロ野球の阪神タイガースの専属栄養アドバイザーを務め、パリ五輪では男子バレーボール代表チームに同行するなど、アスリートの栄養指導で数多くの実績をもつ。

1度でもダイエットをしたことがある人なら、“糖質や脂質は控えめ、たんぱく質は多め”という鉄板ルールを聞いたことがあるだろう。だが、栄養バランスを考えて何品も料理を用意するのは非常に面倒くさい。
「その点、鍋料理なら具材を用意する段階で、ある程度栄養バランスを考えられますし、なんと言っても鍋に具材をぶち込むだけなので(笑)。普段料理をしない方でも簡単に作ることができるので、1人暮らしのアスリートには私もよく鍋をすすめています」。
特に野菜をたくさん摂れることがいちばんの利点だと話す。
「ローカロリーで、たくさんの栄養素を摂取することができる野菜ですが、生野菜だと量を食べるのはなかなか難しいもの。鍋なら加熱をするので、カサが減ってたくさん食べることができます。
筋肉をつけたい方にとっては、野菜は関係がないと思われがちですが、野菜に含まれる食物繊維や栄養素は腸内環境を整え、たんぱく質の吸収を高めることにつながります。具材に気を配れば、鍋は高たんぱくで低脂質、そして栄養素も満点のダイエット食になるんです」。
とはいえ、鍋ならなんでもいい、という訳にはいかない。よりダイエットに効果的な調理法を教えてもらった。
1. 白身魚と鶏胸肉で高たんぱく質・低脂質に

筋肉の元となるたんぱく質は、ダイエット中に積極的に摂りたい栄養素。
「おすすめは鯛やタラなど、高たんぱく、低脂質の白身魚。これらの魚はうまみにつながるアミノ酸が多いため、すごく良い出汁が出るのもポイントです。
またブリなどの脂の乗ったお魚でも、脂質の心配はありません。というのも、魚の脂はn-3系と呼ばれ、体脂肪を上げるのではなく、血液をサラサラにする効果があるんです。むしろトレーニングをする人こそ積極的に摂ってほしいですね」。


「ちなみに鮭の赤い色はアスタキサンチンという天然色素によるもので、実は鮭も白身魚なので、鍋にぴったりです」。
普段からハードにトレーニングをしているような人は、さらに高たんぱくな鶏胸肉を入れよう。
「パサつきがちな鶏胸肉は、薄切りにして、しゃぶしゃぶのように火を通すとおいしく食べることができます。逆に脂質の多い豚バラ肉や、魚由来でも意外と糖質の多い練り物系は避けた方がいいでしょう」。
2/3