
一般的に、肥満の原因として語られがちな「糖質」。
しかし、昭和医科大学教授の山岸昌一先生によれば、「必ずしも糖質が肥満の原因になるわけではありません。重要なのは糖の“種類”と“摂り方”です」という。
我々が見落としがちな糖の正体とその付き合い方を、山岸先生に伺った。
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山岸昌一⚫︎昭和医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科教授。1989年金沢大学医学部卒業。久留米大学医学部教授を経て2019年より現職。AGE研究の第一人者であり、2025年には米国調査機関によりAGE分野で世界第2位の学識者に選出されている。
果物やジュースに含まれる「糖」の正体
肥満につながる“糖”とは一体何なのか。 それを正しく理解するためには、まずは糖の分類を知る必要がある。
「そもそも糖質とは炭水化物の一部で、たんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。炭水化物は『食物繊維』と『糖質』から構成されており、このうち食物繊維は肥満や糖尿病を予防する上でむしろ積極的に摂るべきものです。
一方の糖質は、さらに『糖類(ブドウ糖、果糖、ショ糖)』『糖アルコール(キシリトールなど)』『オリゴ糖』『でんぷん』などに細かく分類されます」。
糖質の構造は、最小単位のものから複雑に連結したものまで、多岐にわたる。
「『単糖類』と呼ばれる最小単位の糖にはブドウ糖や果糖があり、これらが1対1の比率でくっついたものが『二糖類』である砂糖(ショ糖)です 。また、ブドウ糖が数百個もつながってストックされた状態が『でんぷん』です 。米やパン、トウモロコシなどの主食には、『でんぷん』が多く含まれています。『でんぷん』は、最終的にブドウ糖をエネルギーとして活用するための供給源となっているのです」。

ここで重要なのは、人間が長い年月をかけて主なエネルギー源として利用してきたのが、ブドウ糖であるという点だ。
「ブドウ糖が体内に入ると、膵臓からインスリンが分泌され、細胞に取り込まれてエネルギーとして利用されます。この仕組みによって血糖値は一定に保たれています。
もちろん、過剰に摂取すれば体への負担は生じますが、でんぷんとしてゆっくり吸収される形で適量を摂れば、大きな問題はありません」。
一方で注意が必要なのが、果糖やショ糖(果糖+ブドウ糖)などの「糖類」を、飲み物やお菓子といった形で過剰に摂取するケースだ。
「果糖はブドウ糖と異なり、インスリンの作用をほとんど受けない代謝経路をとります。小腸で吸収された後、その多くが肝臓に運ばれ、処理されます。
適量であれば問題ありませんが、特に飲料などで過剰に、かつ液体として摂取した場合には、吸収が速くなり、余剰分が脂肪へと変換されやすくなります」。
つまり、注意すべきは糖質の種類。問題なのは、糖類を過剰に、しかも吸収の速い形で摂ってしまうことにある。
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