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笑いのフォームを守ることが仕事選びの条件


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朝ドラやコント番組など、要所での露出は続いているが、古巣のバラエティ番組で川西さんを見かける機会はほとんどない。どのような基準で仕事を選び取っているのだろうか。

「吉本興業が僕ら芸人に分配してくれる仕事は本当にさまざま。ありがたいことですが、無作為にやるかと言ったらそうではなく、今は一つひとつの仕事と向き合って選んでいる感じです。

ドラマにしろコントにしろ自分のライブと同じ。消費的ではなく丁寧に時間をかけて練り上げられるものが僕は好みだし、そっちに価値を置いています。あとは、やったことがない仕事は一度は受けてみる。自分のお笑いのフォームを崩さなくていいものを選ぶ、という基準もあります」。



そして、こう続ける。
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「バラエティ番組についても、出ないと決めたわけじゃないんです。現にNHKの『LIFE』というコント番組にも継続的に出させてもらってますし。自分の個性が活きて、番組に役立ててもらえるのならぜひ出たいですね」。

自らの理想とするフォームを崩さないこと。その言葉は響きこそ美しいが、現実の生活においては時にシビアな選択を意味する。だがそれさえも、自己を深く知るための好機にしていると川西さんは言う。

「この2年で自分がどう変わったか……。自分の道をまっすぐに進む潔さが持てるようになったとは思います。たとえば、自分の純度に合う仕事を選んでいけば、当然、選ばない仕事も出てきて、それは収入に直結しますよね。そうなると不安だし怖いし、気持ちがかなり落ち込むこともあります。

でも、そういう時にようやく自分の性根が見えてくるんですよ。『それでお前はどうしたいの?』と問いかける。『目の前の仕事に飛びついて安心したいのか?』と。そうすると『いや、やりたいのはこれじゃない』『じゃあ、何をやるの?』『自分の芸でお金を掴みたい』『自分の芸ってつまりは……』と、どんどん奥の方から本音が出てくるんです。

最後の最後にあるそういう不安とか孤独から逃げない。逃げたらもったいない。そこから滲み出てくる自分と向き合えるのはチャンスで、その先で得られる多幸感こそが、自分の人生を豊かにしてくれると信じています」。


SNSで多くを語らない川西賢志郎の現在地。今回の取材を通じて、その輪郭がより鮮明に浮かび上がったはずだ。ピンになった今も、その魂は紛れもなくツッコミの名手。これからどんな表現の深みで暴れていくのか、期待は膨らむばかりだ。

佐々木隆宣=写真 ぎぎまき=取材・文

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