2015年4月熊本地震テント村
登山家としてはもとより、国内外で大規模な災害が発生した際の積極的な支援活動でも知られる野口 健さん。
自ら被災地へ赴き、多くの避難所でサポートを行なっていく中で感じた、日本における災害支援の問題点とは何か。その課題に、我々はどう備えるべきか。
今回は野口さんの体験談をもとに、被災時における「テントの有効性」と「SNSの活用法」について話を聞いた。
話を聞いたのは……
野口 健さん●1973年生まれ。アルピニスト。1999年にエベレストの登頂に成功し、当時の7大陸最高峰世界最年少登頂記録(25歳)を樹立。以降、ヒマラヤの清掃登山や富士山の環境問題などに取り組む。また、大規模災害発生時には自身のNPO法人や登山家としての知見を活かし、寝袋の配布やテント村の設営など、迅速かつ実効性の高い支援活動を展開している。
熊本地震で実現した“日本版テント村”
「先進国の中で三流以下」
「ソマリアの難民キャンプにも劣る」
これは、大規模災害時における日本の避難所の質を揶揄する言葉だ。
画像提供:東北地方整備局震災伝承館
野口さんは、その根本的な理由について、人道支援に関する国際的なルール「スフィア基準」が、法律で義務化されていないことを挙げている。
被災者の居住空間や最低限の生活物資を平時から確保しておくことで、災害発生時におけるスピーディな支援が可能になる。例えばイタリアでは、「発災後2日以内のテント村設置」が法定化されており、物資の供給に関する行政と民間の連携もスムーズだ。
岡山県総社市の片岡聡一市長と野口さん
この「テント村」の重要性を、「生きのびるためのスペースになる」と野口さんは強く訴えている。2015年のネパール地震でその有効性を目の当たりにし、2016年の熊本地震では自ら先頭に立って、“日本版テント村”の実現にこぎつけた経験があるからだ。
「この時、岡山県総社市の片岡聡一市長の協力が大きかったです。僕は被災地にテントを届ければいいと思っていたのですが、片岡市長はそれならテント村を作って運営しようと、被災自治体と交渉し、テント村の設置、運営の手配を迅速にしてくれたのです。
また、アウトドアメーカーのコールマン・ジャパンも、100張のテントを半額で提供してくれただけでなく、ランタンやテントマットなども寄付してくださいました。こうした官民連携があってこそ、質の高い災害支援が成り立つわけです」。
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