日本最悪の惨劇「津山30人殺し」の現場へ

それから、この話には続きがあるんです。
神事の熱気に当てられ、興奮冷めやらぬ翌日のことでした。僕らは移動中のタクシーの運転手さんから、ある場所の存在を教えられたんです。「この辺には、ある事件の現場があるんですよ」と。
それは約90年前、一夜にして30人以上もの村人が殺害された日本最悪の大量殺人事件の1つ、「津山30人殺し」の舞台になった貝尾集落。
横溝正史の小説『八つ墓村』のモデルになった場所です。心霊系YouTuberでさえ、あまりのタブーさに足を踏み入れないといわれる禁忌の地なんですね。
不謹慎だという自覚はありました。しかし、人間のエゴというか、剥き出しの好奇心を抑えることができず、僕らはその集落へと車を走らせたんです。
犯人が自決した峠で読み上げた呪いの「遺書」

犯人である都井は20歳そこそこで、結核を理由に徴兵を逃れ、病気を理由に村八分にされた恨みから犯行に及んだと言われています。頭にはハチマキ、腰には日本刀や短刀、手には猟銃を持ち、首からは自転車のライトをぶら下げている。これは、文献にも良く出てくる都井の犯行当日の姿です。
彼は送電線を切り、村全体を暗闇にしてから次々に民家を襲いました。犯行は用意周到、計画的なものでした。警察が到着する時間を見越して、都井は1時間半のうちに自分の祖母や5歳の子どもを含む村人を次々と殺害し、犯行後は集落から離れた荒坂峠で自決します。
正確な場所は地図にも載っていませんが、僕ら一行はその峠へ向かうことにしました。途中、村人に道を聞いても怪訝な顔をされ、警戒されるだけでしたが。
そのまま車を走らせて行くと突然、降魔師の阿部吉宏さんが「いる」と言うんです。間違いなく都井の霊が目の前にいると。
阿部さんに見えていたのは160cmくらいの若い男。霊感の強いADのK君も同じ霊を見ています。すごい形相のうえ、昼間なのにものすごい強いエネルギーを発していたようです。
阿部さんによれば「すごい強い。彼には恩怨がある。きっと事件が彼のなかでは決着してないんだろう」ということでした。

「津山30人殺し」についてはネットに情報が溢れています。僕らは犯人が書いたとされる遺書を見つけて都井の霊がいる前で読み上げることにしました。なぜあんなことをしたのか、彼の言いたいことも知りたかったからです。
遺書には祖母や姉への謝罪の言葉はありましたが、天誅を下すという歪んだ正義感と、殺し損ねた者たちへの執着に満ちた内容、社会への恨み辛みが書かれていました。
読み終えた僕の呼吸は荒くなって行きました。阿部さんによれば、どうやら都井が僕に乗り移ろうとしていたと。僕の背中に阿部さんがピッタリと付いていたのは気づいてましたが、まさか都井が僕に近づこうとしていたとは……。
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