想像をはるかに超える展開に、完璧に裏切られる
最初僕は、「ほのぼの旅系の作品かな?」と思っていました。
しかし! 完璧に裏切られました!
ネタバレは控えますが、すみれさんの人生は想像以上に壮絶で、“人生の厳しさ”“当時の日本のリアル”“母の強さと愛情”これらが一気に押し寄せてきます。
目が離せない展開と感情移入して入り込んでしまうストーリー。山田洋次監督には脱帽するしかない。
さらにこの映画、面白いのは、どの視点で観るかでジャンルが変わるんです。
・タクシー運転手の目線
・85歳のマダムの人生
・家族の愛憎劇
なんと、3回観ても別の作品に感じる。それぞれの視点で3回楽しめる、そんな映画です。
3回楽しめるよ☆ 「グランメゾン東京」からのイメージ。
“家族想いの運転手”という、新たなキムタク像
キムタク演じる宇佐美浩二は個人タクシーの運転手。無愛想なところもあるけど、聞き上手で、家族のことを何より大切にする男。
でも彼にもリアルな悩みがある。
・娘の私立高校の入学金と学費(約100万円)
・車検
・家の更新料
これ全部が一気に重なる、まさに「ちょ待てよ」状態。
イメージです。
この身近なお金の問題が、後半に大きな感動を生む仕掛けになっています。
家族のために、一人の父親としてお金に悩む木村拓哉さんの姿には親近感があり、そして、ハンドルを握る姿が、こんなに画になるのかと驚く。
僕がこの映画で強く感じたのは「相手を知らずして感動はない」 ということ。
なぜラストで号泣したのか?
なぜすみれさんがあれほど愛おしくなるのか?
それは、彼女の人生を知り、他人ではなくなったからです。
“相手を知る”“相手に知ってもらう”――距離が縮まって初めて、一緒に笑ったり泣いたり、喧嘩したりできる。距離が縮まらないうちは何もないまま終わってしまう。
“一期一会”を大切にするべき! そう思えました。
よく考えたら、初対面で2人きりの空間ができるのってタクシーだけ?なのかなと。今回の映画を観てから、タクシーに乗った時は必ず運転手さんと話をするようにしているんだけど、やっぱ運転手さんって、僕の知らないことをいっぱい教えてくれるんですよ。
・ワンメーターなのに、お会計1万円出されるの3回続いたらキツイとか
・イチャイチャカップルなのにお会計割り勘で急に揉め始めるとか
いろいろな話が聞けてタクシーに乗るのが楽しくなりましたよ。これも映画を観たおかげです!
ちょい寄り道:映画内ルートのタクシー代、調べてみた
では、『TOKYOタクシー』を一通り語ったところで余談を少し。
映画のストーリー内でのタクシー料金を調べてみた!
東京(柴又)〜神奈川(葉山)、およそ3万5760円!
移動時間1時間42分!(※ネット調べ、ルートによって異なります)
高っけぇ!(笑)
一期一会の大切さ、後悔を乗り越える強さ、そして衝撃的な愛憎劇!
めちゃくちゃ心に残る作品です! ぜひタクシーに乗って映画館に観に行っていただきたい!

それではまた次回のコラムまで☆
ちょ待てよ〜☆
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