イヴォン・シュイナードが語った「原点に戻れ」

高校生のときにベンチュラ本社のストアでアルバイトを始め、大学(UCサンタバーバラ)でもパートタイムとして勤務。卒業後はフルタイムスタッフとなり、2016年にソーシャルメディアチームに参加。現在はウォーター・ディビジョン(サーフ、フライフィッシング、ウォークウェア、Worn Wearなど)のグローバルSNSマネージャーとして活躍している。
「最初は先輩の産休代行で入ったインターンでした。 でもその経験を通して、ブランドの“声”をどう伝えるかという役割に魅了されたんです」。
パタゴニアではカテゴリーごとに独自の文化があり、藤倉さんは「サーフとオーシャン」の物語を世界に届ける中心的存在だ。そんな彼が、改めて日本との関わりを強めるきっかけになったのは創業者イヴォン・シュイナードの言葉だった。
「『会社が大きくなりすぎて、人のつながりが薄れてきた。 もっと身近に、もっとダイレクトに“海”を伝えるべき』と、彼がそう言ったんです」。

イヴォンは藤倉氏を指名し、日本チームとの架け橋を託した。 それが今回の原宿 オーシャンストアにもつながっている。
「僕にとってパタゴニアは“ブランド”というより“家族”。 日本と本社の両方を知る立場から、海を通して人をつなげたいんです」
彼は現在も本社のあるベンチュラを拠点にしながら、日本との往復を続ける。 その中で感じる文化の違いについて、こう語る。
「カリフォルニアでは、海が生活のすぐそばにある。 朝起きてサーフィンをしてから出社するのが普通。 一方で日本では、週末に行く場所という感覚がまだ残っている気がします。でも、その距離を少しずつ縮めていくことが、僕の仕事のひとつだと思っています」。
彼自身、波のない日はベンチュラの丘陵をハイクし、自然の中でリセットするのが日課。「自然と過ごす時間の中で、次のアイデアが生まれるんですよ」と微笑む。
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