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2025.12.05

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TRUCK黄瀬徳彦の原点回帰。新しいエンジンを積んだ「S.T,N.E.」で目指す理想の家具


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日本を代表する人気家具ブランド「TRUCK(トラック)」創設者である黄瀬徳彦さんが、このたび新たなレーベルをロンチした。その名も「S.T,N.E.(=Same Truck New Engine)」。

長年乗ってきたクルマはそのままに、エンジンだけを積み替える——そんな友人の言葉から生まれたこのコンセプトは、彼自身の今のモードをそのまま映したものだ。

東京・青山でエキシビジョンを開催していた黄瀬さんに、新しい家具の物語について訊いた。

最初は”大人TRUCK”だったネーミングの秘密

キセ・トクヒコ⚫︎1968年生まれ。高校卒業後、長野県松本技術専門校木工科を卒業。97年に唐津裕美さんとともに、オリジナル家具の制作、販売を手がけるTRUCKを設立。2009年大阪市旭区に移転。2025年より新レーベルS.T,N.E.を始動。

キセトクヒコ⚫︎1968年生まれ。高校卒業後、長野県松本技術専門校木工科を卒業。97年に唐津裕美さんとともに、オリジナル家具の制作、販売を手がけるTRUCKを設立。2009年大阪市旭区に移転。2025年より新レーベルS.T,N.E.を始動。


「ドキドキしてたんですよ、ほんまに」。
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大阪・玉造(たまつくり)で家具ブランドTRUCKを立ち上げてから28年。無垢材の温かみと鉄の武骨さが際立つ家具デザインを擁し、日本家具のイメージを塗り替えてきた黄瀬さんが、このたび原点回帰とも言える新ラインS.T,N.E.を始動した。

冒頭の言葉は、東京での展示会場にて、TRUCKユーザーに新たなプロダクトを実際に見てもらう前の偽らざる心境だ。人懐っこい笑顔をたたえつつ、耳障りのいい大阪弁で語る。

ピースなムード溢れる黄瀬さんは、終始穏やかな笑顔で取材に応じてくれた。黄瀬さんにひとめ会おうと、展示会場は多くの人で賑わっていた。

ピースなムード溢れる黄瀬さんは、終始穏やかな笑顔で取材に応じてくれた。黄瀬さんにひとめ会おうと、展示会場は多くの人で賑わっていた。


「長年TRUCKの家具を愛用してくださっている皆さんが、今回のS.T,N.E.をどう受け止めるかは、やっぱり怖かったですよ(笑)。

プロジェクトがスタートした当初のWebサイトでは、モノクロのビジュアルでクールに、しかもTRUCKとは別のレーベルであるかのように見えていたので、プロダクト自体がとても無機質で冷たい感じに映ったようで、長年のTRUCKユーザーさんからは『どないしたん?』と心配されましたから。

なかには『裏切られたと思った』と打ち明けてくれた常連さんもいて、あの時は本当に落ち込みました。

それでも大阪の店舗や今回の展示会に足を運んでいただき、実際にS.T,N.E.の家具に触れた人たちからは、“優しい”とか“温かい”と言っていただき、その言葉を聞いてようやく胸をなでおろしました。

誰にも響かなかったらリタイアしようと思っていたくらいですから。

ほんまにこれはチャレンジ。だから今、こうして“前に進んだ”って感じてもらえたのが、めちゃくちゃうれしいんです」。

黄瀬さんの今の気分が反映されて作られた、ダイニングテーブルと椅子。

黄瀬さんの今の気分が反映されて作られた、ダイニングテーブルと椅子。


10年ほど前から、心のどこかに「TRUCKを始めた頃のように、もっとシンプルなもの作りがしたい」という気持ちがあったという。

「土地をたまたま見つけて、最初はDIY感覚で家を作るかぐらいの気持ちでしたが、毎日のように通い自分の中で妄想が始まると、イメージが大層なものになっていって。

いつしか、すこんと白い抜け感のある、シンプルな家を作ろうと思うようになっていった。その家をデザインしながら並行して考えて生まれたのがS.T,N.E.。

家も家具も、自分の作りたいものに向き合っていたら、自然と生まれたという感じです。当時はまだS.T,N.E.という名前がなかったので、”大人TRUCK”と呼んでいました」。

「S.T,N.E.」の名付け親であるスティーブン・ケン氏とは、長年の同業者であり、黄瀬さんにとって良き理解者。

「S.T,N.E.」の名付け親であるスティーブン・ケン氏とは、長年の友人であり、黄瀬さんにとって良き理解者。


ブランド名であるS.T,N.E.(=Same Truck New Engine)は、家具業界の盟友でLAの親友、スティーブン・ケン氏によるもの。

「長年乗ってきたクルマは、見た目こそボロボロでも、レストアするにあたって、外見はそのままに、エンジンは新しいものに積み替えることで新たな気持ちで走れるようになる。その新しいエンジンとは、僕の今やっていることに対する新たなパッションっていう。一昨年の年末にS.T,N.E.で行こうと決めました」。
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