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ビタミン、亜鉛、アミノ酸といった各種サプリメントも毎日服用している。多忙な経営者たちの必須アイテムといえよう。

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──始めた当初は、トレーニングは週1回程度。だが1年を過ぎた頃から、コンスタントに週2回のトレーニングを続けるようになった。「仕事もトレーニングもリズムを作ったほうがよさそうだ」と思ったのがその理由だ。
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小比類巻 トレーニングを継続してきて、具体的に何が変わりましたか?

中川 まず動きが変わりました。毎回動画を撮っていただくので、以前の動画と比べると一目瞭然です。パンチのスピードが上がっている。出せる技が増えている。そうなると俄然、面白くなってくるんです。そして今回試合に参加して、キックボクシングがさらに面白くなりそうな予感がしています。

小比類巻 試合、いかがでしたか。
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中川 練習とはまったく別物でした。例えばスパーリング。当然ですが自分も相手も仕事がありますから、まずはケガさせちゃいけないと思う。まじめに取り組みますが、倒そうとまでは思わない。でも試合は違う。圧力も、気持ちの入り方も限りなく本気なんです。

左の赤いヘッドギアが中川さんだ。去る9月に開催された「EXECUTIVE FIGHT BUSHIDO〜神命」のワンシーン。

左の赤いヘッドギアが中川さんだ。去る9月に開催された「EXECUTIVE FIGHT BUSHIDO〜神命」のワンシーン。


小比類巻 キックボクシングを始めた当初から、ずっと「試合には出ない」とおっしゃっていましたが。

中川 もともと、人前に出るのは得意じゃないんです。それに、ただでさえ仕事がたっぷりあるのに、試合に出て負けてしまったら、悔しさも溜まっちゃうじゃないですか(笑)。

小比類巻 確かに(笑)。でも、気持ちの変化が起きたんですね。

中川 いくつか理由はありますが、仕事面でもう一歩抜け出すために、「いちばん嫌なこと」をやろうと思ったんです。そして自分を変えてみようと。いちばん嫌なことを具体的に突き詰めると、「キックボクシングの試合に出ること」が浮かび上がったんです。

小比類巻 出場の意思を聞いたときは本当に驚きました。練習はもちろん、減量も大変だったはず。9kg以上落としましたよね。普通は2〜3kgですから。見事にやり切りました。

中川 苦しかったですが、減量はとてもいい経験でした。自分と100%向き合うことができましたから。勝負の結果は、相手次第の部分がある。仕事もそうです。でも減量は、達成できなければ自分のせいにほかならない。これは絶対に負けられないぞ、と思いました。相手と戦う前に、まず自分と戦うということを知ったんです。

「中川さんの特長は中間距離で戦えること。これからは実戦的な距離の取り方をトレーニングしていきたいですね」と小比類巻さん。左●ジャケット13万9700円/タリアトーレ(トレメッツォ 03-5464-1158)、タイ2万4200円、チーフ1万780円/ともにステファノ カウ(バインド ピーアール 03-6416-0441)、靴13万2000円/クロケット&ジョーンズ(トレーディングポスト 青山本店 03-5474-8725)

「中川さんの特長は中間距離で戦えること。これからは実戦的な距離の取り方をトレーニングしていきたいですね」と小比類巻さん。左●ジャケット13万9700円/タリアトーレ(トレメッツォ 03-5464-1158)、タイ2万4200円、チーフ1万780円/ともにステファノ カウ(バインド ピーアール 03-6416-0441)、靴13万2000円/クロケット&ジョーンズ(トレーディングポスト 青山本店 03-5474-8725)


小比類巻 練習も含めて、これまでは「自分を知る」段階でした。この先は、「相手を知る」フェーズに入るんです。そのためのトレーニング──具体的にはミット打ちと距離の取り方──を強化していきますよ。

中川 結局、試合は負けました。その理由は明快です。今回私は、勝ち負けよりも「自分自身をどう作っていくか」に重きを置いていましたから。でも、相手は私のことを「絶対に倒す」と思っていた。勝負事として向き合う姿勢の、レベルが違ったんです。

小比類巻 でも今回、中川さんは最後まで“カッコつけなかった”ですよね。試合後、椅子から立てなくなるほど振り絞った。人前に出たくない人が、あの場で、とことん自分をさらけ出した。そのことに、僕は感動しました。

中川 キックボクシングに出合って、変化した点は多々あります。でも試合に出たあと、さらに大きく変わったんですよ。実は今、断捨離を進めています。試合の前までは、周りがとことんサポートしてくれる。でも、一度リングに上がったら誰も助けてくれません。身ひとつですべてが決まる。そんな価値観を持つことが、実際にモノを持つよりも資産性が高い、と感じたんです。

──中川さんの言葉には説得力がある。そしてどこを切り取っても今すぐ役に立ちそうな、生き方のヒントに満ちている。それでいてなお、最も印象深かった言葉がある。今後の目標をたずねたときのことだ。「ちゃんと強くなって、次は勝ちます」。きっぱりと、カッコつけずに放ったその言葉が、本当にカッコよかったのである。
[KOHI’s NOTE]
・キックボクシングを始めた主な目的は、ダイエット。
・仕事で“もう一歩抜け出すため”に試合出場を決意。
・減量は、言い訳の利かない自分との戦いである。
・「身ひとつで決まる」価値観にこそ、資産性がある。

OCEANS12月「本物だけが欲しいのだ!」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック

山本 大=写真 与那嶺龍士=スタイリング 勝間亮平=ヘアメイク 加瀬友重=編集・文

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