MCJ株式会社 代表取締役社長/COO 安井 元康さん●1978年、東京都生まれ。アニメ企画制作のベンチャー企業を経て、パソコン製造・販売事業を展開するMCJに参画。同社にて東証上場を経験した。その後ケンブリッジ大学でMBAを取得、帰国後、経営コンサルタントとして9年間活動を続ける。2016年3月、古巣であるMCJに復帰し、代表取締役社長/COO(最高執行責任者)に就任する。現在「東洋経済オンライン」にてコラムを執筆中。著書に『非学歴エリート』(飛鳥新社)、『極端のすすめ』(草思社)などがある。
「FIGHTING EXECUTIVE PORTRAIT」とは……▶︎
すべての写真を見る ──ビジネスパーソンとして濃密なキャリアを重ね、会社経営の第一線で活躍を続ける安井元康さん。その物腰は柔らかく、眼差しはどこまでも理知的だ。ある意味、格闘技から最も遠い場所にいる人物のように思える。しかしながらプライベートでは、足掛け8年にわたりトレーニングを継続する、真摯なキックボクサーなのであった。小比類巻 キックボクシングを始める以前、何かほかのエクササイズに取り組んでいましたか?
安井 35歳頃まではとにかく仕事優先で、ジムに行く時間も取れませんでした。ただ、思い立ったら自宅ですぐにできる筋トレだけは続けていたんです。でも筋力だけではなく持久力もつけたい、何か本格的に新しいアクティビティを始めたいとも思っていました。そんな矢先に小比類巻さんと出会って。
小比類巻 安井さんがMCJに復帰された、2016年頃でしたね。
格闘家・経営者 小比類巻貴之●1977年、青森県生まれ。かつてK-1を主戦場に名勝負を繰り広げ、“ミスターストイック”の名で親しまれた格闘家。現在は小比類巻道場の代表を務め、「EXECUTIVE FIGHT BUSHIDO」をプロデュースするなど経営者としても活躍している。kohiruimaki.com
安井 初めてお話ししたときに「キックボクシング、ありだな」と思ったんです。ゴルフのように仲間と都合を合わせる必要もないから、忙しい自分には打ってつけだと。格闘技経験はありませんでしたが、ピンときたんです。
小比類巻 実際にキックボクシングをやってみて、いかがでしたか?
安井 とにかく疲れるスポーツだなあ、というのが第一印象でした。全身を使いますし、1ラウンド戦い続ける体力が求められます。今まで自分でやってきたトレーニングとは、呼吸も使う筋肉もまったく違う。肉体的にも精神的にも、いろんな意味で疲れましたね。
道場での練習風景。「負けん気の強さと、打ち返しの反応の早さが素晴らしい」とは小比類巻さんの弁。
小比類巻 ただ安井さんは昔も今も、疲れをいっさい顔に出しませんよね。スパーリングの1ラウンド目と5ラウンド目の表情が、まったく変わらない。粘り強さと底知れぬパワーを感じます。仕事のときもつらい、キツいという表情は、周囲に見せないようにしているんじゃないですか。
安井 経営者というのは人前に立つ仕事でもあるので、常々感情のコントロールというものは意識しています。それが身に染み付いているんでしょうね。
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