
1990年代、東京の夜にひときわ異彩を放っていた「恵比寿みるく」。“エロとロック”をコンセプトに、アンダーグラウンドカルチャーの震源地として、音楽、ファッション、アートの垣根を軽やかに飛び越えた伝説のクラブだ。
1995年に誕生し、2007年に惜しまれつつも閉店。だがその影響は今もなお、世代を超えてクリエイターたちの血に流れ続けている。

そんな“伝説”が今年、30周年を迎えるのを記念し、10月25日(土)から11月9日(日)までヒステリックグラマー渋谷店にて回顧展「STORY OF みるく」が開催される。
“エロとロック”が生んだ唯一無二の東京ナイトカルチャー

「恵比寿みるく」がオープンしたのは、1995年10月13日。当時の東京といえば、渋谷系の音楽や裏原宿カルチャーが渦を巻いていた時代。そんななかで“ROCKのスピリット”を根底に据え、エロスとアナーキーを内包したこのクラブは、東京の夜に新たな価値観を提示した。

ファッションやアート、映画に関連したイベントも数多く行われ、ジャンルレスな人々が交わる場所に一躍成長。モデル、アーティスト、スタイリスト、写真家。誰もが夜の自由を求め、みるくに集った。
そこでは、音と光と身体が溶け合うような瞬間が毎晩のように生まれ、クラブキッズたちの熱狂は東京の夜を染め上げていった。

今回の回顧展は、そんな時代の息吹をいまに蘇らせる試みだ。「古き良き日本のアンダーグラウンドカルチャーを後世に語り継ぐ」ことを目的に、ファッション、音楽、アートの有志によって結成された“恵比寿みるく30th記念イベント実行委員会”が企画。
会場には、当時の空気をそのまま封じ込めたような展示が並ぶ。

『TOKYO STYLE』などで知られる写真家・都築響一氏をはじめ、当時新進気鋭のクリエイターたちが再集結。みるく発行のフリーペーパー「TOKYO ATOM」、ロックバンド「Friction」のレック氏による写真、クラブキッズのスナップなど、貴重な資料やアートワークが展示される。
それらは単なる“懐古”ではなく、今なお息づく東京のアンダーグラウンドカルチャーの系譜を感じさせる。展示作品の多くは、当時の空気をリエディットする形で再構成されており、過去と現在、そして未来のみるくを体感できる空間となっている。

会場となるのは、同じく90年代カルチャーの象徴的ブランドであるヒステリックグラマーの渋谷店。“ロックとエロス”という共通言語を持つ両者による今回の企画は、カルチャー的にも必然の邂逅と言えるだろう。
さらに、恵比寿みるくとヒステリックグラマーによるコラボレーションTシャツ「MILK RAID HYS TEE」も発売される。当時のクラブシーンを知る世代はもちろん、90年代のストリートカルチャーに憧れを持つ若手世代にも刺さる一枚だ。
「MILK RAID HYS TEE」1万4300円/ヒステリックグラマー 03-3478-8471
この回顧展はただの展示ではなく、“東京の夜”そのものを再び感じさせるスペシャルなライブ空間となるだろう。あの夜を知る人も、知らない人も。あの時代を今一度体感しよう。
[イベント詳細]「STORY OF みるく」期間:2025年10月25日(土)〜11月9日(日)場所:HYSTERIC GLAMOUR 渋谷店(東京都渋谷区神宮前6-23-2)時間:11:00〜20:00