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 トレンドを把握しつつも流されない、当時の想いを表す550


その後、ナノ・ユニバースのショップスタッフへ転職。さまざまなブランドと出合うことでさらに知見を広げることになるが、リーバイスのジーンズは変わらず愛用し続けた。
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「ナノ・ユニバースに入社してからも、リーバイスのジーンズはよく穿いていました。僕だけでなく、スタッフの多くが穿いていたと思います。好きな人が多かったですから。お店ではスラックスを穿くようにという空気だったため、本部から禁止令まで出たほどです(笑)」。

とはいえ、ヴィンテージ至上主義など偏った思考はなく、当時から比較的柔軟だったという。
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「リーバイスは好きでしたが、コレクターのようなストイックさはありませんでした。比較的ミーハーな部分もあるので、全体のトレンドに合わせて手にしていたと思います。それこそ、ゴーゲッターやミスターハリウッドがシーンで騒がれていた頃には646を穿いていましたし、ジーンズではありませんが、サーフファッションが注目され出した頃には517のコーデュロイを穿き込んでいましたね」。

時代の流れに乗ったかと思えば、抗ったりもする。その「天邪鬼」な部分も、多様な目線でファッションを捉える和田さんならではだ。



「シルエットで細身が流行った時がありましたよね。そのときには、逆に大きめのものを穿いたりもしていました。全然ウエストは合っていませんでしたが、ベルトで縛っちゃえばいいと意に介しませんでした。周りがブルージーンズばかり穿いていたら、ブラックを穿いてみようと探してみたりもしました」

そんなタイミングで手にしたのが「550」のフルレングスとショーツである。




「これは30代前半に購入したもの。サルファブラックでアメリカ製です」。



「今でも550は好きです。550はもともと505が原型で、それをリラックスフィットにしたモデル。1980年代半ばくらいに登場し、HIPHOPカルチャー全盛の90年代に流行しました。当時は古着店などでよく目にしましたが、今は90年代のそこまで古くないアメリカ製でも少なくなっています。

これは、それほど色落ちしてはいませんが同年代くらいだと思います。トレンド的にはスキニーが盛り上がりを見せる中、僕はシルエットをそこまで気にしていませんでした。それに、リーバイスジーンズの古着は、サイズの大きいモデルが比較的安く手に入ったんです。ちなみにこれは36インチです」。

そのショーツバージョンもまた、いい思い出が詰まった一本なのだとか。




「これもだいたい同じ時期のもの。プライベートでよく遊んでくれていた先輩から譲り受けました。ウエスト表記が38で、レングスの表記はL11です。この表記とウエストサイズが数少ないちょっとしたこだわりですね」。
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