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すべての写真を見るキャリア当初からの戦友であると同時に、まるで姉妹のようでもある彼女たち。
今日も花が咲くふたりの会話から見えてきた、時に異なり、時に共鳴するデニム観とは?
山本美月 × 小山田早織 対談
「デニムはラクじゃない」と語る、ふたりの目線
——おふたりは、駆け出しの頃からの長年のお付き合いだと伺いました。山本 最初は「CanCam」の撮影で、私が高校3年生のときでした。
小山田 私はスタイリストの師匠に就いたばかりで、同じ頃、みーちゃんが専属モデルとしてデビューしたから同期みたいな感じ。下っ端の私がスタジオの隅でポツンと昼食をとっていたら、一緒に食べよって声をかけてくれて。
山本 そうして仕事で頻繁に会ううちに仲良くなって、ふたりで食事やショッピング、伊勢神宮にも行ったよね。
小山田 ニューヨークへ旅行したときに、お互い初めて(クリスチャン)ルブタンを買って、早速履いてシンデレラを観劇したのは良い思い出です。
山本 さおりんは几帳面でしっかり者なので、旅程も細かく決めてくれるんです。ちゃんと人生設計も考えているし、仕事もプライベートも充実させている。私はルーズなタイプだから、常々こうなりたいって思っています。
小山田 みーちゃんは、努力家でプロ意識も高いし、何より自分の芯がある。そのブレないところに憧れるんです。
聖地でモノ作りを学び今も変わらず特別な存在

デニムジャケット2万2000円/ヘルシーデニム(ゲストリスト 03-6869-6670)、デニム3万1900円/ヤヌーク(カイタックインターナショナル 03-5722-3684)、ニット1万7600円/ミースロエ(ミースロエ ルミネ新宿1店 03-6304-5660)、パンプス13万7500円/クリスチャン ルブタン(クリスチャンルブタン ジャパン christianlouboutin.com)、イヤーカフ2万9700円、ネックレス4万6200円/ともにリラ(リラ/スピック&スパン ルミネ有楽町店 03-5222-1744)
——山本さんは過去にベストジーニストを受賞されていますね。山本 とても光栄ですし、しかも一般投票で選ばれたのもうれしかったです。自分にとってデニムは、何ら特別ではない身近なアイテム。いつも当たり前にはいてきたので、受賞をしたときは「私って似合ってるんだ」って(笑)。
小山田 私は逆で、特別な存在ですね。大学生の頃にデニムメーカーで働いていた時期があって、産地である岡山県の児島にも東京から週3回ほど通って、工場や職人の方々にモノ作りの本質を学びました。自社ブランドの撮影では組み合わせる洋服を自分で考えて買い集めてきて、モデル選びもして、それが楽しくて今の道を志したんです。
——好きなデニムの傾向、選ぶうえで意識することがあれば教えてください。山本 ここ数年はワイドなシルエットが多いですね。でも最近またシュッとした細身も気になっていて、アチコチ探して迷子になっているところです。
小山田 デニムほどトレンドが表れるアイテムはないし、特にウィメンズは顕著。なので、トレンドを求めるなら新陳代謝が必要というのが持論。少し前のジーンズは相応に古さを感じるし、たとえリバイバルしても昔とは微妙に違う。私も以前は歴代の愛用デニムをコレクションしていましたが、クローゼットの肥やしになっていました。
気持ちが引き締まるからほとんど毎日はいている
![[左]デニムジャケット6万500円/キイト info@quiito.co.jp、デニム参考商品/コス(コス 青山店 03-5413-7121)](https://images.oceans.tokyo.jp/media/article/52789/images/editor/3bd31e1584eec8c3693513c8e65246aec7799ba7.jpg?h=950)
[左]デニムジャケット6万500円/キイト info@quiito.co.jp、デニム参考商品/コス(コス 青山店 03-5413-7121)
——男性のデニムスタイルについて目が向くポイントはありますか?山本 シンプルにTシャツ&デニムがいちばん格好いいと思います。けれど、ただ着ていればいいわけでもなく、清潔感や体型維持、ヘアスタイルとかスキンケアも関係してくるから、簡単ではないこともわかっています。だからこそ、それが似合う方はステキです。
小山田 メンズファッションは女性に比べて、アイテムの種類が少なくデザインの幅も狭い。限られた中から何を選んで、どう着こなすかにセンスや個性が表れるし、そこが面白さでもある。広さがない代わりに深めるのが醍醐味ですし、デニムはその代表格。コスパブランドで全然OKなので、自分なりに何かこだわってほしいと思います。
——反対にデニムが似合う女性とは?小山田 誰でも似合うと言われるけど、かといって、どれでも似合うわけではありません。下半身にコンプレックスを抱えている女性は多いし、デニムは如実に表れる。だから選びや合わせが重要になるし、スタイリストにとっては腕の見せ所。たっぷり時間を取って、いろいろなショップを見て、あらゆるシルエットを試着して、店員さんにも相談しながら自分に似合うタイプを見定めるのが大事だと思います。
山本 確かにデニムはシルエットが命。実際にはかないとわからないので、私もネットでは買わずに必ず試着しています。
——それぞれにとってデニムとはどのような存在でしょうか?小山田 カラダのバロメーターですね。デニムに脚を通すと少し太ったとか脚がむくんでいるとか、体調の変化に気付ける。それを基準にしてダイエットしなければ!って自分を律しますね。
山本 自宅で過ごすときも、ほぼ毎日はいています。リラックスできるけどジャージやスウェットパンツほどラクではないから、ダラダラしすぎない。髪をキュッとひとつ結びする感覚にも似ていて、気持ちが適度に引き締まってシャキッとするところが好きです。
俳優 山本美月●2009年に雑誌「CanCam」の専属モデルとしてデビュー、’11年に俳優業をスタート。以降、ドラマ「パーフェクトワールド」、映画『糸』『ザ・ファブル』シリーズなどに出演し、今年はドラマ「ゲレンデ飯」、Hulu独占配信中の「おとなになっても」に主演する。
スタイリスト 小山田早織●女性ファッション誌、タレントの衣装、有名ショップのライブ配信やテレビ番組&CMへの出演、自身のYouTubeチャンネルなど幅広く活躍し、同世代を中心に絶大な支持を獲得。また、人気ブランドとのコラボ商品も多く手掛ける。プライベートでは2児のママ。
OCEANS 11月「やっぱりデニムは、人だ。」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!