夢はハンドルの先にあった
中谷さんがクルマを好きになったきっかけを尋ねてみると、そこには父親の影響が色濃くあった。

「父が車好きで、小さい頃から『セルシオ』や『シーマ』といった国産車のセダンに乗せてもらってました。だから自然と『いつかは自分の車を』って思うようになったんです。小学生でもう“将来乗りたい車リスト”を作っていて、卒業文集には『ゲレンデが欲しい』って書いてました(笑)」
憧れはやがて現実に。選んだのはゲレンデではなく、AMGのカブリオレ。けれど、あの頃に描いた夢の延長線上にある車選びであった。

どこにでもいる車好きな若者としての表情を見せる中谷選手だが、世界3階級制覇を達成した、日本ボクシング界を代表する若きスターである。取材の最後に今後の道標も伺った。
「減量がきつくなってきたら、その都度階級は上げると思います。今はスーパーバンタム級の身体づくりを始めていますが、階級を上げたほうがスピードが増しているという実感もありますね。明確にどこまで上げると決めてはいませんが、フェザー級、スーパーフェザー級くらいまでは視野に入れています」。
目線は常に前を、そして上を見ていた。



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「実はもうすぐ納車予定のクラシックカーがあるんです。次回はぜひ、そちらも紹介させてください!」。
相模原の空の下、AMGカブリオレを駆ける王者の笑顔は、すでに次のステージの活躍を予感させるものだった。