OCEANS

SHARE

人生を豊かにするのは出会い


advertisement

――音楽から少し離れた時間で、大事にしていることやこだわりはありますか?

30歳までは音楽一辺倒でしたが、それだけだと行き詰まってしまうんですよね。人とのつながりも音楽関係に限定されてしまい、世界が狭く感じられることもありました。

そんなとき、35歳でボクシングを始めたらとても新鮮な気持ちになりました。ジョギングやバイク、今では車と趣味は広がっていきましたが、大事なのは趣味そのものよりも、それを通じて生まれる出会いです。同じ趣味を持っていても、仕事も人生もまったく違う人たちと話すと、「こんな考え方があるんだ」と驚かされることが多い。そのやり取りが楽しいし、自分の視野を広げてくれるんです。
advertisement

僕にとって趣味は「窓口」。上達するかどうかは関係なく、その場所でどんな人と出会い、どんな話をするかが大切なんです。



――まさに人生を豊かにする出会いですね。

豊かさって特別なことじゃなくて、日常のなかでの小さな出会いや、きっかけの積み重ねだと思うんです。ちょっと行き詰まったなと思ったら、釣りでも散歩でも、軽い一歩でいい。それが大きな突破口になることもある。

雑誌のライターさんでも、大工さんでも、漁師さんでも、ベーカリーさんでも。各所での出会いが、自分にとっての刺激や学びになっていくし、最終的には音楽にもつながっていく。広がりを感じられることが、今はすごく楽しいですね。



――年齢を重ねるにつれて、フットワークが重くなりそうですが、田島さんは問題なく?


僕の場合は全然ないですね。むしろ今のほうが、面白いことや興味のあることがどんどん出てきて、自然と動きたくなる感覚があります。いろんな価値観を持った人に出会うほうが断然面白い。交流を通じて自分の幅も広がりますし、経験が増える分、失敗や苦労も増えるけど、「それは悪いことではなく良いもの」だと受け止められるようになりました。

若い頃は要領良く、うまいことやって成功するやつに憧れていましたが、今はむしろ逆。ある時期に本気で苦労した人は、大人になってからの仕上がりがまったく違う。深みや説得力、人への優しさ……人間としての厚みが備わっていくんです。

僕は、年齢を重ねても中身が成長していない人間にはなりたくない。立場を盾にするだけで人の気持ちを理解しないような存在にだけは、なりたくないと思っています。
3/3

次の記事を読み込んでいます。