伝説的モデル「イルクジ」誕生のきっかけ
![今年発表された「イルクジ」最新モデル。[左]「BGA-2800K-7A」、[右]「GW-6905K-7A」](https://images.oceans.tokyo.jp/media/article/52340/images/editor/a856912bb6e628ef3260e473f54c47013bff4fed.jpg?w=850)
今年発表された「イルクジ」最新モデル。[左]「BGA-2800K-7A」、[右]「GW-6905K-7A」
Gショックが環境への取り組みを製品作りを通じて発信し始めたのは、1990年代前半のこと。環境団体とのコラボレーションモデルを発表したことが、すべての始まりだった。
柳田「通称『イルクジ』と呼ばれているモデルで、イルカとクジラ、自然の素晴らしさと大切さを伝える環境団体であるアイサーチ・ジャパンさんとのコラボレーションです。’94年に初代モデルを発売したのですが、当時は『第4回国際イルカクジラ会議記念モデル』として製作されました。それ以降も関係性を深め、継続的にサポートさせていただき、2024年には30周年を迎えました」。

始まりは、アイサーチ・ジャパンの活動内容に共感し、カシオとしてお手伝いできればとスタートしたという。
中村「元々Gショックはアウトドアシーンで使われることが多く、ダイビングをはじめ厳しい自然環境と接する方々からも評価をいただいてきた時計です。過酷な環境下で使われてきたからこそ、その時計が使われている自然と向き合うことが必要じゃないかと考えたことが、コラボレーションモデル製作のきっかけです」。
’90年代前半の日本では、現在のようなサステナビリティへの意識や環境保全の意識はそれほど根付いていたわけではない。思い返せば、 アイサーチ・ジャパンのような環境団体とGショックのコラボレーションは先進的な取り組みだったと言える。
中村 「ちょうどその時期は、前衛的なお店が環境に優しい商品を企画し始めていたり、先進的なお客様がそういう商品を探してお店を回っていたり、少しずつそういった意識が芽生えていた時期だったと思います。Gショックがそういったお店で販売されていたこともあり、世の中の動きとして、カシオ全体としても認識し始めた頃でした」。

海外の先進的な環境活動を参考にしたのではなく、日本発の取り組みとして1994年にイルクジモデルが発売されたのは、今振り返っても画期的な出来事だった。その後、1996年や1997年に登場したスケルトンタイプのイルクジは瞬く間に話題を集め、発売と同時に完売。コラボモデル人気が一気に広がるきっかけとなった。
柳田「現在でも裏原のデザイナーたちから『自分のファースト・Gショックといえばスケルトンのイルクジ』とお話くださる方も多くて、時計をきっかけに、環境保全に共感する機会を提供できたことは、コラボモデルとして意義あるものだったと感じています」。
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