憧れは今も胸に。“KID”がくれた闘い続ける理由

このボディカラーにも並々ならぬこだわりがあるようだ。
「もともと黄色が好きなんです。黒や白のハマーももちろんかっこいいけど、それってやっぱり定番じゃないですか。だったらあえて、信号待ちで『なんだあの車!?』って思われるくらいインパクトがあったほうが、自分らしいと感じたんすよね。それと、山本“KID”徳郁選手のイメージカラーだったことも大きいです」。

ハマーといえば「神の子」、故・山本“KID”徳郁選手の愛車であったことも格闘ファンの間ではよく知られている。
「自分もレスリング出身なので、同じ道を歩んで格闘技の世界で頂点を極めた“KID”さんは、ずっと憧れでした。高校時代やジュニアの頃から、本当に輝いて見えて……。『いつか自分もあんな風になりたい』と強く思わせてくれた選手なんです。
小学生の頃に、レスリングの大会会場で一度だけお会いして、当時は凄さをそこまで理解できてなかったけど、今思えばとても貴重な体験でした。大人になってから『もっと写真を撮っておけばよかったな』って、ちょっと後悔もしてるくらいです」。

胃がんを患い、2018年に41歳という若さでこの世を去った神の子“KID”。稀代のスーパースターが日本格闘技界に残した功績はあまりに大きい。
「今でも“KID”さんの存在が、心の中で生きていて。試合前には、“KID”さんの過去の試合を見て、自分を奮い立たせています。映像を見るたび、『もっと強くなりたい』って思う。もはやルーティンですね。あの“攻めの姿勢”や“殺気”に、毎回背中を押されるんです。
自分は寝技が得意なので、スタイルとしては違いますけど、あの“気迫”や“存在感”は本当に尊敬していて、自分もそうなりたいと思ってます。“KID”さんは、いつも自分の原点であり、目指すべき道を示してくれる存在ですね」。
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