佐々木 明とは何者か? 5回目の五輪を8年振りに目指したわけ

アルペンスキーヤーとして19歳で世界選手権に初出場し、その後ワールドカップデビュー。アジア人最多となる3度の2位表彰台を経験する。オリンピックは2002年のソルトレークシティからソチまで、4大会連続で出場を果たす。

アスリートとして申し分ないキャリアを積んできた佐々木は、ソチ五輪を戦い終えた2014年3月、32歳で競技人生を引退。その後は大自然を滑走するバックカントリーに転身し、「より大きなものへの挑戦」を始める。
「めちゃくちゃ過酷な山に入ったし、誰より早くも滑った。リスク承知で氷河も攻めた。でも、記録は何もない。映像は撮っているから凄いことをやっていると伝わっても、一部の人にだけ。あれ、待てよ?と。“大きな挑戦”だと思っていたものは、本当の挑戦ではないんじゃないか、俺は挑戦を履き違えていたんじゃないかと気が付いた」。

コロナ禍だったその頃、東京と北京でオリンピックが立て続けに開催され、佐々木はテレビの前で涙を流したという。
「勝つという目標を持って挑戦している選手たちが羨ましかったし、尊敬できた」。
こうして、40歳になった佐々木に転機が訪れる。
2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪を目指し、アルペン競技への現役復帰を宣言。引退から8年が経っていた。
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