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「良い油」「悪い油」どう見分ける?

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――健康に「良い脂質」と「悪い脂質」は、どのように分類されるのでしょうか?
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脂質は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分られます。

飽和脂肪酸

主に動物性食品に多く含まれる脂質で、肉の脂身やバター、ラードなどがこれにあたります。摂りすぎると悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを高める可能性があります。しかし、すべてが悪いわけではありません。

例えば、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸(MCTオイル)は、消化吸収が早く、すぐにエネルギーに変換されるため、体脂肪として蓄えられにくいという特徴があります。
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不飽和脂肪酸

植物油や魚の油に多く含まれ、常温では液体なのが特徴です。さらに「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」に分類されます。
●オメガ3脂肪酸アマニ油、えごま油、青魚など
炎症を抑える作用や、中性脂肪を下げる作用、血液をサラサラにする効果などが期待されています。現代人に不足しがちなので、意識して摂ることが重要です。

●オメガ6脂肪酸サラダ油、ごま油、大豆油など
免疫や細胞膜の形成に必要ですが、現代の食生活では摂りすぎる傾向が。過剰摂取は炎症を促す要因になることも。

●オメガ9脂肪酸オリーブオイル、なたね油、アボカドオイルなど
悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化や高血圧を防ぐ働きがあるとされています。酸化しにくく、加熱調理にも強いため、日常使いにおすすめです。
――不飽和脂肪酸と聞くとヘルシーなイメージがありますが、「オメガ6系」には注意が必要なんですね。ちなみに「トランス脂肪酸が体に悪い」ともよく聞きますが……?

はい、それは本当です。トランス脂肪酸は、心疾患やアレルギー、高血圧などのリスク要因になるとされ、国際的にも注意が呼びかけられてきました。アメリカでは2007年から表示が義務化され、「トランス脂肪酸=体に悪い」という認識が一気に広がりました。

その影響は日本にも及び、現在ではトランス脂肪酸を使用した加工食品はかなり少なくなっているんです。

――では、今はもうあまり気にしなくても大丈夫なんでしょうか?

いえ、実は別の問題が出てきています。トランス脂肪酸の代わりに、いま多くの食品に使われているのが「パーム油」。アブラヤシから採れる油で、コストが安く、加工しやすいため、トランス脂肪酸の代替油としてマーガリンやショートニング、ファットスプレッドなどに含まれるようになったんです。また、フライドポテトやドーナツなどの揚げ油、スナック菓子、カップ麺などにも幅広く使われています。

ただし最近の研究では、このパーム油の過剰摂取が大腸がんや糖尿病などのリスクを高める可能性があるとして、世界的にも警鐘が鳴らされるようになりました。

さらに注意すべき点として、原材料表示には「パーム油」と書かれておらず、代わりに「植物油脂」とだけ記載されているケースがほとんどなんです。つまり、知らないうちに摂取してしまっていることも少なくありません。

――なるほど。加工食品を買うときは「植物油脂」の表記がないかチェックする習慣をつけたいと思います。

「ここに騙されやすい!」あなたの家の油は大丈夫?

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ーー「良い油」を選びたいと思っても、スーパーに行くと種類が多すぎて迷ってしまいます……。

油選びには“見落としがちな落とし穴”があるんです。まず注意してほしいのが、「コレステロールゼロ」という表示。よく見かけますよね。

ーーはい。「ヘルシーそう」と思って選んでいました…。

植物油にはもともとコレステロールが含まれていません。わざわざ“ゼロ”と書くことで、特別な健康効果があるように見せているだけなんです。あたかもその製品が特別にヘルシーであるかのように見せるための、消費者の誤解を招きやすい売り文句と言えますよね。

さらに、かつては「コレステロールの摂りすぎはNG」と言われていましたが、今ではその考えは見直されています。もちろん極端な摂りすぎは避けるべきですが、通常の食事で摂る分には大きな問題はないとされています。

――そうだったんですね……! 完全に誤解していました。

そして、もうひとつ注意してほしいのが、透明なペットボトルに入った油。これ、意外と多いですが、酸化リスクが高いんです。

油は光・熱・酸素に触れると酸化が進み、体に有害な物質に変化してしまいます。とくに、不飽和脂肪酸が多い油は酸化しやすいです。できれば、遮光性の瓶や紙パックに入っているものを選び、開封後は早めに使い切るのがおすすめです。

――うちの油、ペットボトルだし、大容量(900g)だし、アウトですね……。

そしてもうひとつ大事なのが「搾り方」。市販の安価な油の多くは、高温処理や化学製法で抽出されていることが多く、せっかくの栄養成分であるビタミンやミネラルなどが損なわれがちです。

理想は、「コールドプレス(低温圧搾)」や「圧搾製法」、「一番搾り」と表示されているもの。これらは、熱や化学処理をほとんど加えず、時間をかけてじっくりと油を搾り出しているため、原料本来の栄養成分が損なわれにくい特徴があります。

――家の油には、搾り方の表示が書かれていません(涙)。表示されていないと選びようがないですね。

任意表示なので悩ましいですよね。

さらに見落とされがちなのが「遺伝子組み換え」の表示。油は表示義務の対象外なので、原料が遺伝子組み換えでもラベルには反映されません。

大豆やなたねなどの原料が遺伝子組み換えであっても、油になってしまうと表示義務がないため、知らず知らずのうちに遺伝子組み換え由来の油を摂取している可能性があります。

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――えっ、これも初耳です……。

心配な方は「遺伝子組み換えでない」と書かれているものを選んでください。自然食品店やオンラインショップで「一番搾り なたね油」などで検索すると見つけやすいですよ。

――ちなみに外食や惣菜もよく利用するんですが、そこにも危険が潜んでいるのでしょうか?

残念ながら、外食や市販の惣菜には、業務用油が使用されている可能性が高いです。なかには、揚げ物などを美味しく見せるために、油の泡立ちを抑制する「消泡剤(シリコーン)」が添加されているものもあります。
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