連載「実録、空き家改造計画」とは……スウェーデン人モデル・アントンさんの古民家リノベ術を紹介する本連載。
前回までは物件購入や費用について赤裸々に語ってもらった。
今回は、彼が古民家を素敵に改造するため大切にしている5つのポイントを伝授いただいた。
【写真20点】「真似したいアントン流リノベ術」の詳細を写真でチェック 案内人はこの方!
アントン・ウォールマン●1992年生まれ、ストックホルム出身。19歳の頃からファッションモデルとして世界をまたにかけて活躍。数回の来日を経て、2019年より日本に移住。日本の空き家を自らの手でリノベーション、セルフビルドした様子をYouTubeでも配信し、2023年、『FREE HOUSES IN JAPAN』を自費出版している。Instagram:@anton.injapan
こんにちは、アントン・ウォールマンです。今回は、僕のフラッグシップハウスともいえる「SANGENJAYA HOUSE(三茶ハウス)」のレイアウトとともに、リノベをする際のポイントをお伝えしたいと思います。
この三茶ハウスは築90年ほどの空き家を購入し、荷物を片付けて解体するところからスタート。週に3〜4日作業し、1年ほどかけてフルリノベーションしました。
ポイント① 空間を家全体で広く捉える

キッチンの後ろにあった和室も取って、ダイニングキッチンにした。
まず第一に日本の家は小さな部屋が多いので、レイアウトを考えるのに工夫が必要です。
外壁はいじらずにいかに空間を広く見せられるか、家全体を一つの空間として、大きく捉えるようにしています。三茶ハウスはもともと1階にキッチンと2部屋、2階に3部屋、5LDKほどありましたが、1階は仕切りをすべて取り払い、ダイニング、キッチン、リビングを統一しています。
階の玄関の左側にあった元和室はリビングスペースに。
リノベをするときは、ざっくりと間取りをどうするか考えながら片付け・解体作業していくことが重要。片付くと改めていろいろと見えてくるので空間デザインをゼロから考えますが、これを考えるときがいちばん楽しいですね。


例えば階段。リノベーションしたあとも階段の上がる位置は同じですが、かなり広々とさせました。以前は階段に使う面積(スペース)が少なく一段一段がかなり急で、初めて見たときはびっくりしましたね。段差の高さもまちまちで1段が24センチあったところも! 悩んだ末に大工の香月力也さんとゼロからデザインして、足場の位置も2階の部屋があったところまで伸ばしました。
現在の階段がある位置には、もともと畳の部屋があったんです。階段はリサイクルの木材をカットして作りましたが、すごくキレイに仕上がりました。
アントンさんの示す位置に以前の階段の足場があった。
2階はキッチン上の和室を丸々取り除きましたが、屋根裏も取っ払い、開放的な吹き抜けにしてます。おかげで天井を仰ぐと屋根が見えるんですよ。これすごいカッコいいと思うんですけど、夏になると、ちょっと暑いかもしれないですね。
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