スレート・オートが発売するBEV「スレート」の基本形。
イーロン・マスク氏が手こずっている格安BEV(電気自動車)、Amazonの創業者ジェフ・ベゾス氏が先にやっちゃうみたい。
数年前からマスク氏は、中国製の安いBEVに対抗するため「2万5000ドルのテスラ」を目指すと言っていたが、未だ実現には至っていない。そこへ、ベゾス氏が出資するスレート・オート(Slate Auto)が「アメリカの補助金使えば約2万ドル(約290万円)」というピックアップトラックの受付を開始した。
3サイズは全長174.6インチ(約4434mm)×全幅70.6インチ(約1793mm)×全高69.3インチ(約1760mm)。
同じく補助金を使って6万2490ドル(約996万円)からというプライスタグをぶら下げるテスラの「サイバートラック」と比べたら約1/4。最も安い「モデル3」の3万4990ドル(約503万円)の半額に近いという、驚異のバーゲンプライスだ。しかもアメリカ製。
カスタマイズをDIYでもできるという手軽さも魅力。
もちろん安いのには理由がある。ホイールはスチールだし、ドアウインドウは今どきハンドルを回して開閉しなければならない。センターディスプレイパネル? そんなものは自分のスマホを使えとばかりに、スマホホルダーがステアリング近くに備わる。
トラックでもSUVでもシンプルなボクシースタイルは変わらない。
一方で、満充電で150マイル(約241km)走り、オプションで240マイル(約386km)にすることもできる。衝突被害軽減ブレーキやエアコンは標準で備わるし、USBでスマホの充電も可能。要は必要最小限の装備が揃えられているってこと。
しかも、単に安いだけではない。100種類以上用意されるというアクセサリーから好みのパーツを選べば、後部座席を備えた5人乗りSUVにだって改造することもできる。しかもカスタム工場へ持ち込まずとも、DIYでも可能だという。
スマホの音楽を聴きたいなら、小型のBluetoothスピーカーを持ち込むのも一つ方法。
カスタマイズが前提だから基本形がシンプルなんだろうけれど、それが逆に、今どきの車にはない魅力あるフォルムを産んだといえそうだ。
その上、うれしいことに、小さい。フォード「F150」に代表されるようなアメリカのフルサイズピックアップトラックと比べて1300mmも短い。三菱トライトンよりも約1000mm短く、90年代に活躍したトヨタハイラックス(シングルキャブ)とほぼ同じサイズだ。日本の道路事情にピッタリじゃないか。
SUVスタイルにカスタマイズした例。ルーフ後端が斜めになるクーペSUVのキットも選べる。
上質感とか豪華仕様に走りがちな昨今の車の中で、サンダルのように使えそうなピックアップトラック。ボードを荷台にポンッと載せて、近くの海までちょいと行ってくる、なんて乗り方もサマになる。
しかもカスタマイズが自在だから、海辺で他人とカブる心配もない。例え同じスレートトラックであっても「あ、その仕様にしたんですね」とか会話も弾みそう。
オープンエアキットとドアレス仕様を選択した例。
安いだけじゃなく、変幻自在で、小さくて、ライフスタイルにピタッと当てはめやすいメイド・イン・USA。アメ車でも、ベゾス氏おすすめのこんなピックアップトラックなら、日本でもバカ売れするかも。