OCEANS

SHARE

筋肉のバランスを整えるカギは「サボリ筋」にあった!



――まず、サボリ筋について教えてください。


「サボリ筋」とは、関節を支える筋肉です。この筋肉は普段意識して動かすことが難しく、弱くなりやすい特徴を持っています。また、年齢とともに低下していく筋肉でもあります。

サボリ筋が十分に働いていないと、他の筋肉に過剰な負担がかかり、肩こりや腰痛、筋疲労といった問題を引き起こすことがあります。
advertisement

――一般的な筋トレとサボリ筋トレーニングの違いは何でしょうか?

一般的な筋トレは、スクワットやベンチプレスなど、体全体の筋肉を使って大きな動きを行うことが特徴です。

一方で、サボリ筋トレーニングは、関節を支える筋肉だけにフォーカスして鍛える方法です。そのため、負荷が少なく、高齢者からアスリートまで誰でも取り組めます。

さらに、普段使いにくい筋肉を意識的に鍛えることで、体の動きが安定し、怪我の予防やトレーニング効果の向上が期待できます。

――具体的なトレーニング方法について教えてください。

サボリ筋トレーニング1:手首の強化(前腕の小指側)

① 脇を締めて、手をグーの形にする
小指・薬指・中指に力を入れて握る。この際、親指と人差し指は力を抜いておきます。

手首を曲げる
この状態で手首を下に向けて曲げ、そのままさらに力を入れ続けます。

10秒間キープ
最大限の力を入れつつ10秒間キープします。
出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)

出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)


このトレーニングでは、手首を支える「尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)」という筋肉を鍛えることができます。

特に、ベンチプレスや荷物を持ち上げる動作時の怪我予防に効果的です。
サボリ筋トレーニング2:手首の強化(前腕の親指側)

① 胸の前の高さで、手をグーの形にする
親指と人差し指に力を入れて握る。この際、小指・薬指・中指は力を抜いておきます。

② 手首を曲げる
この状態で手首を下に向けて曲げ、そのままさらに力を入れ続けます。

③ 10秒間キープ

最大限の力を入れつつ10秒間キープします。
出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)

出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)


このトレーニングでは、手首を支える「橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)」という筋肉を鍛えることができます。

肩が上がりやすく、力みやすい人に有効です。
サボリ筋トレーニング3:肩甲骨周りの強化(外側の筋肉)

① 片手の指先を自分に、反対の手は逆方向に向ける。

肘を軽く曲げ、少し前に出し、手のひらの根元部分だけを合わせます。

② 両手で押し合う
合わせた手のひらをどちらも力を入れて、押し合います。

③ 10秒間キープ
この姿勢を10秒間保ちます。
この方法では、肩甲骨を支える「前鋸筋(ぜんきょきん)」という筋肉を鍛えます。肩の安定性が向上し、姿勢改善や肩こりの軽減にも役立ちます。

特にベンチプレスをした後に首が痛くなる方は、この筋肉が弱っている傾向にあります。

出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)

出典:笹川大瑛『運動能力が10秒で上がるサボリ筋トレーニング』(KADOKAWA)


サボリ筋トレーニングを行う際は、一つの関節につき2つの筋肉をセットで必ず鍛えるようにしてください。

内側と外側の筋肉をバランスよく鍛えることが身体を壊しにくく、パフォーマンスを上げるコツになります。
3/3

理想の体を手に入れるために、サボリ筋を鍛えよう



――サボリ筋トレーニングを取り入れることで、筋トレの停滞期を突破できる可能性はありますか?


可能性は十分にあります。例えば、一般的な筋トレでは、使いやすい筋肉だけに負担が集中しやすく、停滞や怪我につながることが多いです。

一方、サボリ筋を鍛えることで関節が安定し、全身の筋肉がバランス良く働くようになります。これにより、トレーニングの効率が上がり、重量を上げるパフォーマンスの向上も期待できます。
advertisement

スポーツ選手でもパフォーマンスが上がらなくなるのは強い強度の運動に耐えられなくなると、関節は負荷が速さについていけず力を発揮できない(停滞する)もしくは、怪我をするのどちらかになります。

――最後に、30〜40代の男性に向けてメッセージをお願いします。

30代後半から40代にかけて、筋力は毎年1%ずつ低下すると言われています。この時期に体のメンテナンスを怠ると、50代以降に肩こりや腰痛が悪化したり、日常生活が不自由になる可能性があります。

筋トレを続けている方は、すでに健康意識が高い方が多いと思いますが、バランスを整える要素も加えることで、より効果的なトレーニングが実現します。

サボリ筋トレーニングを取り入れ、体の土台をしっかり整えながら、無理なく続けていきましょう。


まずは、この記事に記載してあるサボリ筋のトレーニングから始めてみよう。そこで、普段の筋トレの質や日常生活に変化が見られた場合は、さまざまなサボリ筋トレーニングの勉強を始めてみるのがおすすめだ。

アントレース、秋元梢=取材・文

SHARE