バダットの初夏の棚田
「B級グルメジャーニー」とは……日本人にとって、原風景ともいうべき棚田。山などの傾斜地に作られる水田であるが、実はフィリピンの山奥に、2000年以上の歴史を持つ美しい棚田があるという。
昔ながらの米作りを行う秘境に、グルメを求めて世界を放浪するB級グルメさんが潜入した。
案内人はこの方!
異世界B級グルメ●世界各地のB級グルメやローカルグルメを探している旅人。これまで40カ国、200以上の地域を巡り、自身のYouTubeチャンネル「異世界B級グルメ」で各地の様子やグルメについて紹介している。特技は水泳と迷わない方向感覚。趣味は各国の紙幣とコイン集め。
首都から丸一日、フィリピンの山奥にある秘境
フィリピンのグルメといっても、イメージが湧かない人は多いかもしれません。かつての統治時代のスペインやアジアの影響が混ざり合った食文化ですが、主食は日本と同じお米です。
今回は、そんなフィリピンで2000年以上も受け継がれている棚田を紹介します。現地でWi-Fiは99%使えず、お店もほとんど見当たらず、アクセスも難しい。まさに「秘境」と言ってよい場所です。
今回の旅の目的は「お米」。流通がなく、フィリピン国内でも現地に行かないと食べられないというのです。
僕が訪れた秘境は、バダットという小さい村で、フィリピンの首都マニラがあるルソン島北部に位置します。

実はこのルソン島北部一帯は世界最大規模の棚田地帯になっていて、「フィリピン・コルディリェーラの棚田群」としてユネスコの世界遺産に登録されているんです。
そうはいっても観光客が気軽に訪れるようなところではなく、アクセスはマニラからはバスで丸1日間かけて行くしかありません。まずは8〜10時間ほどバスに揺られて玄関口の町・バナウエへ行き、さらに乗合いのバンに乗り継ぎ1時間半、そこからさらに山道を30分歩いてようやく辿り着きます。
コルディリェーラ山脈の玄関口の町バナウエの景色
バダット村の入り口でバスを降りると、徒歩で山道を抜け、途中の小屋で入村料50ペソを払い宿に到着。標高1500メートルほどにあるバダット村、眼下には青々とした稲が広がり、疲れを忘れるほど美しい景色でした。「天国への階段」とうたわれるのも納得。稲が風でサーッと音を立て涼しさに包まれます。
一瞬日本にいるような気持ちにもなりましたが、ここはフィリピンの山奥。宿の主人が宿で唯一のWi-Fiスポットを教えてくれました。ベンチに座ってるときだけネットが微妙に使えるらしい。理由は不明ですが、さすが秘境。
バダット村の全景。
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