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平野:めちゃくちゃ鮮やかな企画ですよね。で、企画の完成度の高さは言わずもがななんですけど、そこに周りを巻き込んで、現実のものとして世に出すところまで漕ぎ着けているのが本当に凄まじいです。

TaiTan:実現までには8カ月くらいかかりましたが、最初の5カ月くらいは「なんでスニーカーなんだっけ?」の説明や承認に時間を要していましたね。100年の歴史をもつ世界的な企業なので当たり前なのですが。


平野:TaiTanさんは人との会話の集積が、全部企画や仕事に繋がっているイメージがあります。

TaiTan:そうですね。僕はデザインもできないし実際に手を動かしてのモノづくりもできないので、人と喋ってるときの記憶を結びつけて新しいものをつくりだすことにしか、 僕の価値がないというか。その記憶を引っ張ってくるための筋肉を、ひたすら鍛えてるみたいな感じですね。
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——お2人にとってポッドキャストはどんな存在ですか?

平野:それでいうと、今年3月に私が代表を務めている菓子ブランド「ノーレーズンサンドイッチ」が、東京駅のグランスタ東京に初出店するんですね。それをポッドキャストなどで告知したところ、コメントで「推しが武道館決まった気分」みたいに書いてくださってる方ががいて。それに近しい反応もたくさんいただきました。これは本当に得難いことだと思っていて。

というのも、その方々は東京駅に出店することを、ブランドの成長譚として受け取って応援してくださっているんですよね。私自身も、ブランドを育てることに物語を描いていくような感覚を持っているのですが、それを分かち合えていたんだな、ということを、そのコメントで強く実感したんです。

TaiTan:ポッドキャストは物語をつくる力があるんですよね。

平野:そうですね。私が「(NO) RAISIN SANDWICH」を会社化して代表になったのが2021年なので、ポッドキャストでも折に触れてその話をしてきたんです。「こういうことが大変で」とか「これが決まったよ」とか。そうした日々の共有は、音声だからこそ温度感を持って伝えられるところがありますし、ポッドキャストがなかったらこんな風に分かち合えていないと思います。
 


TaiTan:僕の場合も同じですね。「奇奇怪怪」を聞いてない人だったら今回のSHUREさんの件も「TaiTanがスニーカーつくったんだ」っていう見出しでしか記憶に付着しないと思うんです。でも、番組のリスナーには、僕の中には10年間くらいのストーリーがあることを共有したりしているので、色々汲み取ってそのストーリーの一部として認識してくれるんじゃないかと思います。
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