オトナのデニム新潮流⚫︎デニムを育て、デニムとともに育ってきたオーシャンズ世代。だからこそ「ヴィンテージこそ至高!」と思考停止しちゃいないか? 業界のデニムラバーたちが乗りこなす“デニム新潮流”に倣い、価値観をアップデート!
アメリカものを通して現地の空気を感じ、古着からこなれ感を学んできた。そんな同胞ならデニムにおけるリーバイスの偉大さは身に染みて分かっているはず。
だからこそ気になる、同世代が王道から外れて手にした1本。そこで彼らの背中を押したデニムを、新潮流として認定したい。
まずは、プロデューサー、マーケター、広告制作のディレクターと、多彩な一面を持つフリーPRの田中 遥さんの場合だ。
紹介してくれたのは……

田中 遥(たなか よう)●国内屈指のセレクトショップ「ビームス」にてプレスとして活躍後、独立。現在は、多くのブランドのPRに携わりながら、シーズンビジュアルの撮影ディレクションや企業のマーケティングサポートなど多方面で奮闘する。
経験と共に広がったデニムを見る視野
前職では諸先輩方からアメリカンカルチャーのイロハを学んできた。ゆえに彼にとってデニムはあって当たり前の存在……と思いきや、実情は少々異なるよう。
「実は、前のめりになり出したのはここ数年。頻繁にはき出したのは3年ほど前からです。ただ前職のビームスでは、まず普遍的なモノの魅力を叩き込まれるので、知識は確かに血肉となっていますね。もちろん、デニムの基本と言われるようなリーバイスのヴィンテージやストアブランドものなどはひと通りはいてきました」。

田中さんの仕事柄、新たなブランドに触れる機会も多い。なかでも作り手のこだわりを感じやすいのがデニムだという。
「デニムって、大抵のブランドが出していますよね。メンズカジュアルで長く親しまれてきたものなので、アレンジやこだわりを落とし込みやすいのかもしれません。デニムを見るとなんとなくブランドの思想が伝わってくる。『通は寿司店でまず卵焼きを食べる』とよく聞きますが、初めてのブランドは、最初にデニムをはいてみたらいいんじゃないかなと」。

田中さんは、既存の物差しだけで新たなデニムの価値を図るのは難しいともいう。
「メンズファッションでは、ヴィンテージが100点満点という思想があると思うんですよ。僕自身、貴重で高額なものを手にいれることに喜びを見出していた頃もありましたが、大人になってからはそれ以外のところにも魅力を感じられるようになってきたんです。
今のデニムは美しく見えるよう作り込まれたものも多い。純粋にファッションとしてデニムを見るのであれば、古さや稀少性以外の物差しで図らなければいけないと思います」。
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