故郷バングラデシュで見た汚染された原風景
ーーまず、お2人ともLAを拠点にされていますが、山火事の被害は大丈夫でしたか。希子 うちはダメで、家は全焼でした。残ったのはスーツケース2個分の荷物だけ。言葉を失いました。
ローラ 去年の5月くらいから雨がぜんぜん降らなくて、乾燥がすごかったんです。燃えやすい状態でしたね。温暖化の影響がどれくらいあるのかはわかりませんが、ここ数年、蚊も大量に発生するようになって、環境が変わっている実感がありました。
ーー1日も早く鎮火して、元の生活が取り戻せることをお祈りしています。もともと、ローラさんが環境問題に意識を向けるきっかけは何だったのですか?
ローラ 海に大量に浮かぶプラスチックのゴミのニュースを目にしたのが、大きなきっかけでした。これは大変だ! と自分のSNSで共有したら、500万人くらいの人が投稿を見てくれたんです。
自分と同じように心を痛める人はたくさんいることがわかって、そこから積極的に学び、情報を発信するようになりました。
ローラさんと海の関わりは実は深い。ハワイ州観光局日本支局からマラマハワイ・アンバサダーに任命されたり、アディダス史上最大規模のサステナブルムーブメント「RUN FOR THE OCEANS」に参加したり、その活動は多岐にわたる。
ーー 海洋のプラスチックごみ問題で、環境に目を向けた人は少なくないですよね。ローラ 個人的なことで言えば、バングラデシュに帰ったときの経験も大きいんです。
バングラデシュは私のもうひとつの故郷ですが、小さい頃、私は弟と一緒に家の近くにあった池をお風呂代わりにしていました。約5年前にその池に戻ってみると変わり果てた姿で、オイルやプラスチックごみが浮いていたんです。
「水が汚染されているから入ったら肌がブツブツになるよ。もうあの頃みたいに入れないんだ」って地元の人が教えてくれました。こんなジャングルみたいな田舎にまで環境汚染の影響が及ぶんだ……とショックでしたね。あの池の景色は、いまも脳裏に焼き付いています。
丸1日語り合って再認識した共通点
ーー おふたりは環境問題に関心が高いアイコニックな存在ですが、今回が初のコラボとお聞きしています。もともとどんなご関係だったのでしょうか。希子 ファッション雑誌の『ViVi』で専属モデルになった時期がほぼ同じなんです。ローラが私の数カ月後に入ってきたんだよね。
ローラ 私は希子ちゃんを16、7歳の頃から知ってる。年も同じだし、すごく似てる部分があると思う。
希子 そうそう。でも、ローラは最初から誰とも違う魅力を放ってた。私はどちらかと言うと周りに影響されやすいし空気を読むタイプだけど、彼女は最初から“going my way”。「人の話、ちゃんと聞いてる?」って感じることもあったかな。
ローラ あはは(笑)。
希子 お互い、気になる存在としてずっと見ていたと思います。でも、関係が近くなったのは大人になってから。環境問題のことを発信してるローラに私は共感していました。
ローラ アイデアを発信し続けている希子ちゃんを見て、同じマインドの人がいるって私もうれしくて。ひとりじゃないんだと感じてました。『ViVi』で一緒になって、それぞれの道に進んで、また一緒になれる場所に戻ってきたって感じだよね。
希子 1年前の春頃かな。去年から私もローラがいるLAで暮らし始めたんですけど、誰にも邪魔されない環境で丸1日、ふたりで話せる機会があったんです。
「やっぱり、私たち一緒だね!」って意気投合して。私の「kiiks」とローラのコラボという形で「グリーンティーシードヘアオイル」を作ることになりました。
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