連載「The BLUEKEEPERS project」とは…… “捨てるという概念を捨てる”というミッションのもと、あらゆるものをリサイクルするプログラムを検討、提供する「テラサイクル」と、循環型リユースプラットフォームである「Loop(ループ)」。
ふたつの日本法人の代表であるエリック・カワバタさんが、この仕事に就いたのは、絶え間ない海への慈しみからだった。
【写真8点】「実業家エリック・カワバタさんが思う海洋保全」を写真でチェック 話を聞いたのは……
エリック・カワバタ (Eric Kawabata):テラサイクルジャパン代表・アジア太平洋統括責任者。東京大学大学院法学政治学研究科の研究員、投資銀行 法律顧問・役員などを経て、環境及びサステナビリティ分野に従事。2013年テラサイクル入社。2014年1月テラサイクルジャパン代表に就任。2016年テラサイクルアジア太平洋統括責任者に就任し、同年中国、翌2017年韓国に、テラサイクルの現地法人を設立。2019年よりLoopのアジア太平洋統括責任者と日本代表を兼務。
企業活動と環境保護の両立を学んだ学生時代
ーーエリックさんは、テラサイクルとどのように出合ったのですか? エリック・カワバタ氏(以下 エリック) 大学院を卒業後、はじめは金融業界で働いていました。エコをテーマに資金調達をする債権の販売や、二酸化炭素排出権といった環境にまつわる市場を創出しようとしていたんです。
その後2009年頃から、環境コンサルティングを主としながら、同時にオーシャングリーンアソシエーションというNPO法人を立ち上げました。
日本周辺の海水温が上昇している原因と結果・解決策を研究するための機関として、いろんな技術実証実験を行っていました。そのときにテラサイクルと出合い、アメリカの本社にボランティアとして入りました。
当時のテラサイクルでは、アジアに拠点を置きたいという話が挙がっていたんです。なかでも日本では古くから「もったいない精神」が根付いているので消費者も関心を持つかもしれないと、この国で展開することになりました。
そして、テラサイクルジャパンが設立されたタイミングで、私も大きく携わるようになったんです。
ーーエリックさんは最初、環境に軸を置いた商品を金融界で販売されていたんですね。 エリック 一応やってはいました。興味を持たない人が大半でしたが、重要な視点であることに気づいている人もいましたね。
NPO法人のオーシャングリーンアソシエーションを立ち上げた際にも、海ごみや水温の上昇について、私たち以外に声をあげている団体はほとんどなかった。当時海の環境問題を扱っていたのは、私たちのほかに、「ジーン(JEAN)」という環境NGOだけ、というような状況でした。
ーーエリックさんは、社会に出たときから環境にまつわる事象に敏感だったと思います。そのきっかけはありますか? エリック 大きなきっかけは大学時代です。私が通っていたUC バークレー校では、環境意識の高い教授たちがとても多かったのです。私は法律と経済を専攻していましたが、授業で扱われる事例がすべて環境関係でした。初めての授業の教科書のタイトルは「環境経済学」。
例えば、廃棄物の埋め立てが飲み水に与える影響や、工場で排出されるCO2をどのぐらい規制すると会社は潰れてしまうなど、環境問題をトピックに、法律と経済のバランスを学んでいくんです。
環境と企業活動を結びつけていく私の考え方は、大学時代が礎になっていると思います。いまもそれは心に残り続けていますね。
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