連載「パタゴニアン・パパラッチ」とは……ファッションだけに限らず、流行はアイテム選びを左右する要素のひとつ。だが、それに囚われては自分を見失いかねない。オーバーリーバー代表の越川さんの中には、常にそんな戒めがある。
ゆえに時代を経ても色褪せず、それどころか魅力を増す古着に興味が尽きないとか。パタゴニアにおいてもそうだ。今回は、彼が長年着続けているふたつのアイテムを紹介する。
【写真18点】「10代の頃からパタゴニアを愛用。古着好きが惚れ込む愛用品」の詳細を写真でチェック 紹介してくれたのは……
越川 学さん●ショールーム、オーバーリバーを運営。各ブランドのプロモーションを行いながら、プロダクト製作の企画も担当する。古着への造詣も深く、ここ最近は誰も手を出さないような斜め上なアイテムを日々物色中。
地元の古着店で手に入れた“お値段以上”
桜新町にあるオフィスのバックヤードには、私物の古着がところ狭しと置かれている。もちろん希少な品も顔を揃えるが、年代という既存の物差しでは推し測れないユニークなものや、実際に着て役に立つリアルクローズの方が割合的には多い。その中に含まれているのが、このパタゴニアだ。

「これは十数年前に古着で手に入れたパタゴニアのアノラックで、当時3800円で購入しました。仕事で海外へ行くときには絶対に持っていくやつですね。左の胸ポケにパスポートが入りますし、腹部にはカンガルーポケットが付いているので物やら手やらをスッと潜り込ませるのに便利です。つば付きのフードも意外と雨風を遮ってくれます」。

こちらの出どころは千葉にある「デザートスノー」。福島発の古着店で、町田を含め都心部でも数店舗を展開している。特に下北沢の店舗は若者を中心に賑わっていると聞くが、越川さんが通う店舗はやや毛色が異なるとか。

「僕の地元近くにある千葉のデザートスノーは、このご時世では珍しく、’50s系をたくさん置いています。ヴィンテージスニーカーの揃えもセンスがいいんですよね。帰省するときは、お店に寄って服をディグってから実家に帰るのが通例。4時間ぐらいひとりで見ているときもあります」。
さらには古着シーンでも注目を集めているナイキやアディダスだけでなく、カラーリング良しの無名スポーツアイテムも安価で手に入れられるという。

「当時、これが何故3000円台で売られていたのかはよく分かりません。特にユーロ系のアノラックは長めの丈が多いですが、これはミドル丈。ポケットとの袋布の構造や裾を一枚生地で仕上げている点を見ると軽量化を視野に作られているのでしょう。
裾もドローコードで絞れて、フィッティングを自由にコントロールできます。やっぱりよく出来ていますよね」。

「左右のポケットは形がアシンメトリー。フラップも全開できるわけではなく、片方が留められているんです。中の物が外に飛び出すのを防ぐ機能だと思いますが、これも旅行時には便利。あとはこのウルトラマン的な配色。カッコよすぎます(笑)」。
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