ジョギングを日課にしてる僕は、体には自信があります。階段を軽く飛び越えただけでアキレス腱が切れるなんて信じられない。あまりの痛みで、僕は体をよじりながらひっくり返りました。
遠くから見たスタッフたちは冗談だと思って笑っていましたが、病院に搬送された僕はというと、両手に松葉杖で出てくる始末。直後に武将を演じる舞台も控えていたので、顔面蒼白でした。「これは、やっちゃったぞ……」と。
高い塀を乗り越えたわけでもないし、ジャンプして飛び降りたわけでもない。足を捻ったわけでも、無理に着地したわけでもない。走り慣れている僕が段差の低い階段を駆け上がっただけで、全治2カ月の怪我をする要因がまったく見つかりませんでした。
舞台は僕が演じる役をおじいさんの設定に変えてもらうことで切り抜けました。逆にそれが功を奏して、お客様に喜んでもらえるパフォーマンスができたので本当に良かったんですけど、なぜあんな怪我になったのか、ずっと腑に落ちませんでしたね。
それから2カ月くらい経って自分のスケジュールを見返したときに、「いや、待てよ」と……。ラピスラズリの記憶がふと頭をよぎったんです。石を触った3日後にあんな怪我をしたのはもしかして……と。
呪物って現象を重ねないと証明できないから100%信じるわけではないですが、いろんな人が相次いで怪我をしたという前提を加味すると否定もしきれない。さすがに疑い深い僕でも、呪物は確かに存在するかもしれないなと、疑う気持ちと信じる気持ち半々にはなりましたね。
5/6