自前のラバーソールとノルヴェイジャン
ガリビエは往年の登山家が全幅の信頼を置いたブランドだった
パラブーツ、ならびにガリビエを展開するリシャール・ポンヴェール社はレミー・リシャール・ポンヴェールがアルプスの麓の村、イゾーで1910年に創業したシューメーカーだ。
レミーは裁断士を振り出しに業界に深く根を張った。山っ気があったようで、雇われの時代には勇躍パリに乗り込み、みずからデザインした靴を売り込んだ。
1908年に独立したレミーはその2年後の1910年に公証人の娘、ジュリエット・ポンヴェールと結婚し、ポンヴェール家の支援を受けてリシャール・ポンヴェール社を設立した。
ご存じのように、リシャール・ポンヴェール社はラバーソールを内製する世界唯一のシューメーカーだが、はじめの一歩は1926年までさかのぼることができる。その年、血気盛んなレミーは第一次世界大戦の勝利に沸き立つアメリカへ渡った。そこで目にしたのが、底周りにラバーを貼ったブーツだった。
レミーはさっそくラテックスの一大産地であるブラジルとのパイプをつくった。そうして1927年に完成させたのがパラブーツだった。その名は積み出し港のパラ港(Port of Para)からとった。
まだまだ木靴が庶民の足として親しまれていた時代だったことを考えれば、レミーの慧眼っぷりは特筆に値する。それはラバーソール専業メーカーがほとんど誕生していなかったことからも裏付けられる。1910年に創業したダイナイトをのぞけば、その登場はリッジウェイが1930年、ビブラムが1937年、コマンドが1940年と大きく水をあけられている。
忘れてはならないもうひとつのアイデンティティがノルヴェイジャン製法だ。世界のアルピニストが集うイゾーに軸足を置くリシャール・ポンヴェール社にとって登山靴は発展の足がかりになるジャンルであり、ノルヴェイジャンはいの一番にメニューに加えるべき製法だった。パラブーツに先駆け、1920年に呱々の声をあげたガリビエの顔となった製法である。
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