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外国人には食べ物と思えない不思議なビジュアル



おでんはビジュアル的な魅力もある。これは本当に食べ物なのか? と何回も思ったことがある、というか、未だに思うときがある。具体的には、「糸こんにゃく」を見ると、完全に紐のように見えることだ。もしかしたら食材を巻くときの紐ではないかとも思った。

「もち巾着」は財布や袋のように見えて思わず声が出た思い出がある。食べ方もわからなくて、来日当初は丁寧に開けて中身のもちだけを食べていた。そのとき店員さんに、「全部食べられるよ」と言われて、最初は「嘘でしょ?」と信用しなかった。あの店員さんには今でも謝りたいくらいだ。



「はんぺん」も食べ物なのかすぐわからなかった。まるで紙のように見えて、おでんを仕分けるための道具かな? と思っていた。食べ物だと気がついても、すぐには好きになれなかった。食感がなかなか受け入れられなくて、数年は苦戦していた。今では、はんぺんなしのおでんは考えられない。

おでんは驚きがたくさんあるからこそ、好きになるに違いない。日本にしかない発想と食べ方で、遊園地より楽しめる。不思議なのは柔らかい食感が苦手なイタリア人でもおでんを楽しめることだ。


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