渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
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すべての写真を見る 午後4時。サブカルチャー薫る路地裏で、牛のイラストを描いた看板に明かりが灯る。言わずと知れた渋谷の超人気店「炭火焼 ゆうじ」だ。
気が遠くなるほどの試行錯誤の末に導き出す肉とタレのバランスは、まさしく唯一無二。
哲学すら感じる焼肉店の店主、樋口裕師さんを訪ねた。
「炭火焼 ゆうじ」
渡辺 何度もお邪魔していますが、味も店内の雰囲気も最高。渋谷の焼き肉といえば、やはりここですね。
樋口 ありがとうございます。
渡辺 1991年オープンということですが、開業のきっかけは?
樋口 父がここで小料理屋をやっていて、そのあとを継いだ形です。今では想像できませんが、僕が幼い頃はこの辺、本当に静かな場所でした。
渡辺 21歳で独立し、自分の名前を店名に掲げる。強い想いを感じます。
樋口 逃げ道をなくすためです。僕は、それまで、何も長く続かなかった。それこそ最初は焼き鳥と迷って、焼き肉のほうが楽だと思っていた。
渡辺 意外ですね。今のスタイルを築くまでに、相当な努力をされてきたんだと思います。
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