④ 出汁香る、京風のやさしい味わい「INDIA GATE」
「鯛出汁チキンビリヤニ」1400円。
これまでご紹介した3軒は「現地にルーツを求める」ビリヤニでしたが、最後は“良い意味で邪道”なお店を。
アコースティックデュオのシンガーである山縣 智さんが、京都で営む「INDIA GATE」です。
奏でる音楽と同様に、ふんわりした炊き加減と、やさしい味わいに癒されます。というのも、山縣さんの軸にあるのは「バスマティライスをいかに美味しく食べるか、その可能性を突き詰めたい」という思い。
「ビリヤニとはかくあるべし」という固定観念から解き放たれて、日本の炊き込みご飯をベースに自由に再構築しているのです。
そのカギが、鯛や煮干しからとった出汁。
インドのレシピでは「Fish=白身魚」と大雑把に括られますが、日本では魚の種類によって味の引き出し方が異なります。その技術と知恵、感覚をビリヤニに落とし込み、「京風」ともいえる軽やかで繊細な味わいを実現しているのです。
さらに関西を席巻した「スパイスカレーカルチャー」も入っているのが、この店の面白いところ。
南インドやパキスタン料理の愛好家から新しいカレー好きまで、ジャンルの垣根を超えてファンを巻き込んでいった。これはビリヤニの普及においても、ものすごく大きな功績です。
ちなみに私が一番驚いたメニューは「カルボナーラ風ビリヤニ」!
生クリームとベーコン、スパイスにチーズ、そして卵黄を絡めて食べる……。バスマティライスを米とパスタの中間として捉えるというか、非常に挑戦的でイマジネーション溢れるレシピですよね。
しかも、ローマで訪ねたカルボナーラの名店を上回る美味しさでした(笑)。
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ビリヤニをポピュラー化してみせた「エリックサウス」、マニアを唸らせる「ビリヤニ大澤」、全国にファン拡大中の「ジョニーのビリヤニ」。そして、ビリヤニの新たな可能性を提示してくれる「INDIA GATE」。
今回はあえて現地出身ではなく「日本のシェフ」による名店を紹介しました。
ビリヤニに愛と熱意を注ぐ4人の男たち。彼らは間違いなく、今後のブームを支え、盛り上げていってくれるはずです。
完全にブレイクして予約が取れなくなる前に、ぜひ足を運んで、魂がこもった一杯を味わってみてください!
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