「カレー人類学」とは…… 4000軒ものカレー店を食べ歩いたカレー細胞さんが、“2025年に絶対クる”と予言する「ビリヤニ」。
“インドのパエリア”と例えられる、ムスリム由来のスパイス炊き込みご飯で、パキスタンやバングラデシュなどでも愛されているご馳走だ。
セブンイレブンでは4年連続で商品化され、レトルト食品専門店の老舗ニシキヤキッチンのレトルトビリヤニも完売が相次ぐなど、現在、爆発的に知名度上昇中。
「日本で食べるならこの4軒は外せません」とカレー細胞さんが言い切る、ブームの牽引店を紹介する。
▶︎すべての写真を見る 案内人はこの方! カレー細胞●カレーキュレーター。日本全国はもちろん、アジア・アフリカ・南米に至るまで、4000軒以上のカレー店を渡り歩いてきた。カレーカルチャーの振興に向けた活動を精力的に行っている。雑誌やWeb連載のほか、「マツコの知らない世界」(TBS)などTV出演多数。映像クリエイターとしての顔も持つ。
ビリヤニは、ひと言で表すなら「宇宙」です。
定義がものすごく広くて、国や地域、コミュニティによって作り方も見た目も変わる。イスラム教と共に各国へ浸透し発展していった、非常に多様性のある料理なんです。
基本は「スパイス炊き込みご飯」で、代表的な調理法でいうと、グレービー(具なしのカレーソース)と、インドのお米・バスマティライスを地層のように重ねて炊く「ダムビリヤニ」。
もうひとつ、スパイスやヨーグルトでマリネした生肉をバスマティライスで挟み込んで、肉のジューシーな旨味をお米に絡ませる「カッチビリヤニ」も有名です。インドのハイデラバードではこの調理法が主流で、名店が軒を連ねています。
いずれにせよ、共通点は「ご馳走」であること。巨大な釜で一気に炊き上げ、礼拝のあとに囲んだり、結婚式やお祭りで提供したりと、大勢で食べることが前提です。
しかし日本は核家族&おひとりさま社会。インド料理店などでビリヤニを出そうにも「大人数向けのハレの日ご飯」は需要が少ないわけです。たくさん炊いても数が出ないし、そもそもバスマティライスが手に入りづらい。
じゃあローコストでそれらしいものを……と、日本米とスパイスをざっと炒めたものが「ビリヤニ」と銘打って提供されるようになりました。昔の喫茶店で出されていたドライカレーのようなメニューです。
でも、これでは本来の調理法からも、「ご馳走」のイメージからもほど遠い。カレー好きでさえも「ビリヤニ=ドライカレーもしくはカレー味のピラフ」と長きにわたって誤解していました。
そんな“冬の時代”が雪解けを迎えたのは、2010年頃。ビリヤニをメジャーシーンへと押し上げるべく、3人の男たちが動き出したのです。
今回は彼らを筆頭に、「ジャパンビリヤニ」を語るには欠かせない、日本人シェフが牽引する熱き名店を紹介します!
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