このドラマで心に響いたポイントは、なんといっても、二つ星止まりの主人公の葛藤。
主人公の尾花夏樹は料理を作ることに関して、他の誰よりも才能がある。味つけ、焼き加減のセンスなど、ドラマの中でたびたび、料理の腕の凄さを見せつける。
さすが二つ星シェフと思いきや、二つ星より上にあがれない苦悩が同時に描かれる。
何度料理を作っても三つ星が獲れない。いっぱい努力しているのに何故獲れない?
次第に料理を作る楽しみを忘れ、三つ星に囚われ、厨房でイライラを爆発させ、まわりのシェフとの関係も悪くなる。
はたから見たら、二つ星だって凄いことなのに、本人からすれば、二つ星より上にいけない悔しさが常にある。
「才能=努力」と言う言葉は聞いたことはあるが、才能だけでは叶わない、努力だけでも叶わない、努力と才能、両方を持ち得た人がその業界のトップに立てるのだと、誰かが言っていた。
しかし、それだけでも足りないことをこのドラマは教えてくれる。才能もあって努力をしても、三つ星は取れない。
このドラマでいちばん注目してほしいのは、「仲間の力」だ。才能+努力に加えて仲間が大切だと教えてくれる。
主人公は自分にはない力を持った、自分が認めたやつらを仲間にしていく。
・アイデアが自分以上にあるヤツ
・デザートが自分より美味いヤツ
・接客が自分より上手いヤツ
・料理に合う酒が自分より分かるヤツ
・自分の料理を超える可能性のあるヤツ
そして大事なのは、同じ情熱を持っていること。どんなに才能がある仲間でも、目標に対する熱量が同じじゃないと上手くいかない。
そんな仲間たちと力を合わせて三つ星レストランを目指し、やがて主人公はあることに気づく。このメンバーで料理を完成させるのは楽しいということに。
ドラマの再現イメージ。
過去の自分は料理を楽しめていなかった。三つ星を取るためだけに料理を作るのではなく、お客様に喜んでほしい。お客様のために美味しい料理を作ろう。そういう気持ちで作る料理は楽しい! 皆、ありがとう!
こうして主人公は、気持ちを新たに、仲間たちと三つ星料理のメニュー開発に挑むのであった。
テレビドラマ『グランメゾン東京』からのイメージ。
物語的についつい尾花に目がいきがちだが、最終的には三つ星を取った料理人の仲間が主人公だったのである。
もう一度言おう。三つ星を取った料理人の仲間が主人公だった。
この仲間の大切さを描き、夢あり、努力あり、情熱ありでもう一回やってやろう!と若かりし情熱が戻ってきてるはずだ。
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