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また、G580はデフロック機能こそないが、Low Range機能があり、ギア比を1:11から1:21に切り替えられ、オフロード走行に対応する。さらに、オフロードクロール機能を搭載。これは時速4km、8km、12kmの3段階に設定可能で、この速度で走るように車両側が自動で出力を制御する。

このほか、深い水の中を走行するシーンも体験した。渡河性能は、G450dの700mmに対してG580は150mm増の850mmと、BEVモデルのほうが深い水深に対応する。電池パックのパッキンなどの精度を上げているため、ここまでの数字が実現できたという。

渡河性能をアピールする走行シチュエーションも用意されていた(筆者撮影)

渡河性能をアピールする走行シチュエーションも用意されていた(筆者撮影)


他のBEV製造メーカーの場合、開発段階で深い水の中を走行するシーンを公開することはあっても、「あくまでも災害時などの緊急的な対応」を前提としており、BEVにおける渡河性能といった表記をしていない。

各社の4輪駆動車の開発者らと意見交換をしていても、渡河性能を含めた本格的な4駆BEVの量産に向けたハードルは「極めて高い」という声を聞く。

そうした中でメルセデス・ベンツは、渡河走行を推奨はせずとも、メディア向け試乗会の場で渡河性能を試すシーンを用意して、G580の総合性能を強調している。

右に見える急勾配など、さまざまな性能を試すことができるオフロードコースを試乗会場とした(筆者撮影)

右に見える急勾配など、さまざまな性能を試すことができるオフロードコースを試乗会場とした(筆者撮影)


こうしたメルセデス・ベンツの技術開発の姿勢やマーケティング手法は、BEVをすでに製造販売しているメーカー、またはBEVシフトに向けて準備を進めているメーカー関係者にとっては、大きな衝撃であろう。

強大なパワーもドライバーに緊張感なく

では、オンロードでの走行どうか。走行したのはワインディング路など山間部の一般路であるため、「普段づかい」と「レジャー」を想定した走りの比較である。

G580は、加速しようとアクセルを踏み込むと、クルマ全体が「これから走り出そう」と、4輪の接地感が増す。いわば“セットアップする感じ”とでもいえる様相だ。

そこからの加速感は、3トン級の重量物がグイグイと動くという感じではなく、トルク感が十分にあるにもかかわらず、ドライバーが肩の力を入れるような緊張感はない。


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