井植 共通点があるというのは素晴らしいことですよね。
ディビッド 私たちは、アラスカや海に対する情熱だけじゃなくて、現状に変化を起こしたいという願望もあったんです。
井植 その点で、セイラーズフォーザシーを立ち上げて以来、どのような変化を感じていますか?
ディビッド 活動を始めた25年前と比べると、世間の意識は格段に高まっていると思います。例えば、沖合に石油掘削施設があれば、石油が流出する可能性がある。もし流出すれば、海の生物に悪影響を及ぼすことは確実だということを、人々は認識し始めましたよね。
また、料理の分野でも肉類を減らし、野菜や魚を多く摂る食生活が健康的であることが認知されてきたとも感じています。例えに挙げた双方とも、昔では考えられない思考です。
スーザン テクノロジーの役割も大きいと思います。私たちオシアナは、「グーグル(Google)」と「スカイトゥルース」というソフトウェア会社と協力して、グローバル・フィッシング・ウォッチというものを作りました。ほぼリアルタイムで、活動している船の数を監視できるツールで、漁業の透明性を高められるんです。
最近大きな出来事もありました。「アマゾン(Amazon)」とともに懸命な努力を重ね、今年12月末までに米国内の包装から、プラスチック製の緩衝材が排除されることになりました。
ディビッド 「本を保護するためにビニールは必要ないし、紙で十分では?」と彼らを説得しました。不法に捨てられた緩衝材は、多くの海洋生物を殺す原因となっていたので、私たちの活動においても最大の成功のひとつです。
スーザン 海を守ることは経済推進にもつながると思います。多くの沿岸地域の経済の原動力は観光ですし、海が健康できれいでなければ、人々は海水浴やビーチに行きたくないですよね。
井植 海の恵みである、海産物についても二人に意見をお聞きしたいです。海産物の消費量や需要が増えるにつれて、私たちはどのように対処したら良いでしょうか?
ディビッド 持続可能な漁業となるように天然魚を保護する方法はいくつもあると思います。世界的な技術向上と人口の増加により、海から一度にたくさんの魚を水揚げできるようになりました。
そこで、まずはどの魚の数が多く、どのくらいの数の漁獲であれば持続可能なのかを把握する必要があります。もちろん、魚の養殖も非常に注意深く行わなければなりません。動物と同じように、密閉された檻の中に入れると、病気が発生しやすくなる可能性があるので、細心の注意が必要です。
スーザン 持続可能の限度を超えないように漁業規制を政府が保証する、廃棄物となる漁獲を最小限に抑える、魚の生息地を保護することが重要です。「30by30」というワードに象徴されるように、2030年までに海洋の30%を海洋保護区にすることを目標とし、努力を続けています。
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