名店② 和歌山ラーメンシーンの注目株「En」
2軒目以降は、「和歌山ラーメン」以外のラーメンを提供する優良店を紹介したい。まずは、開業して間もないピカピカの新店、2024年10月にオープンした「En(えん)」だ。
同店は、ロケーション・店の雰囲気からラーメンの内容にいたるまで、これまでの和歌山県には殆ど存在しなかったタイプの1軒。今後の展開次第では、和歌山市のラーメンシーンに新風をもたらす可能性を大いに秘めた注目株だ。
店の場所は南海電鉄の支線、加太線の終着駅・加太駅の改札を出てすぐ目の前。ちなみに、この加太エリアは、加太春日神社や淡嶋神社、万葉集で「潟見の浦」と詠まれた風光明媚な加太海水浴場などの観光名所を擁する景勝地。和歌山市の中心部からも比較的距離があり、率直に申し上げれば、これまで目ぼしいラーメン店があまりなかった地域だ。
店内外の雰囲気も、市内の既存店舗とは一線を画している。「町家」のような木材造りの店舗に、白地に黒文字で「En」の屋号が刻まれた大きな暖簾を掲げたファザードは、作り手のセンスの良さが垣間見えるもの。扉を開けると眼前に広がる和食料理店のような内観も、ラーメン店とは思えないほどの高級感を持ち合わせる。
提供される麺メニューは、「うーめん」と名付けられた、1日50杯限定の昆布水つけ麺のみ。
しなやかで瑞々しいストレート麺に、小鉢に盛り付けられた漆黒の「炭塩」を付け一気にすすり上げれば、舌上で、麺に付着した昆布水と塩のうま味が交ざり合い、胃袋は一気に臨戦態勢に。「南高梅ペースト」や「釜あげしらす」など、和歌山県の名産品を随所に織り込む試みも、画期的だ。
キレ味鋭い醤油ベースのつけダレと麺との相性も抜群で、色々な食べ方を試しているうちに、丼が空っぽになってしまっていた。いわゆる「淡麗つけ麺」が食べられる店舗がまだまだ少ない和歌山市に、突如として舞い降りた新星。加太エリアの観光と合わせて、実食あれ!
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