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▶︎すべての写真を見る さっきトイレに行ったのに、もう尿意が……。頻尿に悩むミドルエイジは少なくない。
仕事中にトイレでの中座が多いと周囲の目が気になったり、映画の鑑賞中などに尿意を感じ集中できなくなったりと、命にかかわるほどではないけれど、確実にQOLが低下してしまうのが頻尿の悩みである。
そこで、年間3万人以上外来で診察している泌尿器科医の伊勢呂哲也先生に、尿のトラブルを自力で治す方法を聞いてみた。
話を聞いたのはこの人!伊勢呂哲也●泌尿器科専門医。医療法人インテグレス理事長、大宮エヴァグリーンクリニック院長、東京泌尿器科クリニック上野、池袋消化器内科・泌尿器科クリニック、新橋消化器内科・泌尿器科クリニックなど複数の病院経営を手掛ける。病院経営を通じて、地域の住民の健康を守り、泌尿器科の魅力伝える活動に力を入れている。『尿もれ・頻尿・夜間頻尿 尿トラブルの治し方』、『僕らは生まれ変わってもまた「泌尿器科医」になる』など著書多数。近年はYouTube番組の制作にも携わり、チャンネル登録者数は16万人を超える。
頻尿を自力で治す6つの心がけ
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――まずは、頻尿の定義を教えてください。 目安は「8回」です。1日8回以上トイレに行ってしまう人は「頻尿」といっていいでしょう。
日中ではなく、就寝中に1回でもトイレに行ってしまう人は「夜間頻尿」ですが、病的夜間頻尿となると2回以上です。「40代の2人に1人は頻尿に悩んだことがある」といわれていますが、泌尿器科の病院を受診するに至る人は多くありません。みなさんなるべく病院には行きたくないのでしょう。
――できれば自力で治したい、というのが本音かもしれません。頻尿は自力で治せるものなのでしょうか? 治せるケースが多いです。頻尿の原因が膀胱がんを合併していたり、尿管結石や前立腺肥大によるものならば、病院を受診することがマストです。ですが、多くは膀胱のパフォーマンスを上げることができれば改善されます。
ぜひこれから述べる6つの方法をぜひ試してみてください。
① 膀胱訓練をする
膀胱にためられる尿量を増やすトレーニングです。
本来なら200㏄ほどためられる膀胱なのに、50㏄ぐらいで尿意のサインを出してしまう人は多くいます。尿意を感じる量を50㏄→70㏄→100㏄と徐々に増やしていくことで、トイレの回数を減らすことができますから、膀胱訓練で容量を大きくしていきましょう。
やり方は簡単です。尿意を感じたら5~10分程度、我慢してみること。これを繰り返していけば、少しずつ膀胱にためられる尿量は増えていきます。
② 骨盤底筋体操をする
尿道の括約筋を締めることで膀胱の刺激が弱まります。
結果、頻尿が治まるというわけです。おしっこをするときに途中で止めるときの感覚、あのキュッとした締め上げを、1日10回×3セットしてみてください。継続的に行うことが肝心です。
③ 痩せる
BMI27以上の方は、頻尿になるリスクが約1.5倍というデータがあります。内臓脂肪が膀胱を圧迫し、尿意を感じやすくなるからです。まずは健康的な生活を心がけ、痩せる努力を。
④ 下腹部を温める
冬になるとトイレの回数が増える傾向にあります。冷えが尿意を誘発するからです。カイロや腹巻などで温めましょう。
⑤ 過剰な水分摂取を控える
水分を多く摂取すると、もちろんその分尿量は増えます。ただし水分を控えすぎると、皮膚の乾燥や脱水といったリスクも。尿の色がひとつの判断基準です。
ベストは「うすい黄色」。濃い黄色は水分不足、透明に近い尿は水分過多の可能性がありますので、尿の色を基準に摂取する水分量を調整してみましょう。
⑥ アルコール、カフェイン、辛い物は控える
アルコールやカフェインは利尿作用があるので、頻尿を誘発します。また、唐辛子に含まれているカプサイシンには膀胱の粘膜を刺激する作用があるといわれているので、辛い物も控えましょう。
午後長丁場の会議がある場合などは、ランチで唐辛子を使った料理や食後のコーヒーをやめるなどの工夫をしてみてください。
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