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「1日3杯が体に良い」「摂りすぎ注意」など、様々な意見があるコーヒー。実はカフェインのデメリットとして、体の不調に加え、焦燥感や不安症状が出るという研究結果もあることをご存知だろうか。
では、自分に適切な摂取量を見つけるためにはどうすれば良いのか? 今回お話を伺うのは、一般社団法人みんなのフードポリシー代表理事のいさわゆうこさん。
何十年もの間、毎日5〜6杯のコーヒーを飲み続けたものの、あることが原因できっぱりとカフェインをやめられたそう。早速、コーヒーに潜むデメリット、そしてコーヒーと上手く付き合っていくためのヒントを見ていこう。
聞いたのはこの人! いさわゆうこさん●一般社団法人みんなのフードポリシー代表理事/食品保健指導士/女性の健康推進員/グラフィックデザイナー/ライター。『デカフェにする?』『原因不明の心臓の痛みは、微小血管狭心症でした!』著者。
コーヒーの真実。カフェインの正体、知ってる?
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ーー「1日3杯が体に良い」「摂りすぎ注意」など、対立した様々な意見があるコーヒーですが、ずばり何が正解なのでしょうか? 一般的に1日3杯くらいまでであれば、コーヒーのメリットを享受できますが、それ以上であれば、逆にデメリットが出てしまう可能性があるというのが私の解釈です。
もちろん体質などによって個人差はあり、日本では決められたガイドラインがありません。しかし米国食品医薬品局(FDA)やカナダ保健省(HC)、欧州食品安全機構(EFSA)など海外の機関ガイドラインを見ると、健康な成人のコーヒー摂取量は1日400mgまでにするよう呼びかけているところが多いようです。これはコーヒー1カップを200mLとして計算すると、3杯強になります。
ですから、「1日3杯が体に良い」や「摂りすぎ注意」が間違いということではありませんが、人によっては代謝の能力が違ったり、メリットを享受できないタイプの遺伝子を持っている方もいますので、一概に正解はないと思います。
ーーコーヒーをすすめるメリットとしては、心臓病やがん予防、またコレステロール値の低下がいわれていますが、これは本当ですか? はい。コーヒーに含まれるポリフェノールのクロロゲン酸やカフェインの糖代謝を上げる作用が、心臓病やがん、糖尿病の予防に繋がります。またニコチン酸は、善玉菌を増やし、コレステロール値を下げる可能性があるといわれています。
ただ、あらゆる心臓病やがんの予防効果があると実証されたわけではなく、私もコーヒーをたくさん飲んでいたにもかかわらず、微小血管狭心症という心臓病にかかってしまいましたので、すべてに当てはまるということではないと思います。
そのほかにも、みなさんご存知の通り、目が覚める、気分が高揚する、集中力が高まる、むくみを取る、代謝アップ、血管を収縮させるなど、様々なメリットがあります。
具体的には、気分が高揚することでうつ病や認知症の予防が期待できたり、集中力が高まることで記憶力が持続したり、代謝が上がることでダイエットに繋がったり、血管を収縮させることで頭痛が治ったりするとされています。
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ーー反対に、コーヒーのデメリットとして、カフェインの摂りすぎによる不眠症はよく耳にしますが、ほかの体の不調にはどのようなものがありますか? 不眠のほかにも、動悸、だるさ、頭痛、めまい、胃痛、吐き気、不安感など、実に様々な症状があります。
これらのデメリットの主な理由であるカフェインとは、「アルカロイド」という植物由来成分の一種で、カフェインのほかにコカインやモルヒネなどが例に挙げられます。
とても中毒性があり、大さじ一杯の粉末で死に至る危険なものですので、カフェインのデメリットを決して軽んじてはいけません。
ーーそのようなコーヒーのメリット・デメリットが体に反応しない方もいらっしゃるのでしょうか? 一定数いらっしゃると思いますが、個人差があります。筑波大学の研究によると、およそ日本人の4分の1が、カフェインのメリットを享受しにくい遺伝子を持っているという結果があります。コーヒーが苦手という方の多くが、もしかしたらこのタイプなのかもしれません。
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