連載「イタリア人マッシのブオーノ・ニッポン!」とは…… 日本発祥のコーヒーチェーン店「ドトールコーヒー」。親しみはあれど、その歴史やメニューは普段あまり語られることがない。
そんなドトールの魅力を、日本のチェーン店を楽しみ尽くすイタリア人マッシが語る。
【写真11点】「マッシが魅了されるドトールのメニュー」の写真をチェック 案内人はこの方! マッシミリアーノ・スガイ●1983年生まれ、日本食が大好きなイタリア人フードライター。 KADOKAWAよりフードエッセイ『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』を出版。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で発信中。
ブラジルのコーヒー農園に端を発するドトール
日本に来てよかった理由のひとつは、間違いなくチェーン店にある。なかでも今回は朝のモーニングから午後のおやつ、パニーニまで楽しめる「ドトール」の魅力について紹介しよう。
「ドトール」という名前、一度は耳にしたことがあるだろう。街中で見かける機会もあって、多くの人にとって身近な存在のコーヒーショップだと言っても過言ではない。そんなドトールについて、皆さんが知らないであろう興味深い事実を深掘りしていきたい。
まず、誰もが一度は疑問に思う「ドトール 」という名前。実は、この名前には創業者の熱い想いが込められているのだ。Doutor(ドトール)はポルトガル語で「医者」を意味していて、英語でいうところの「doctor」だ。コーヒー店なのに、なぜ「医者」? と不思議に思う方もいるかもしれない。
実は、ドトールの創業者である鳥羽博道氏は、かつてブラジルのコーヒー農園で働いていた経験がある。そして、そのときに住んでいた場所が「ドトール・ピント・フェライス通り85番地」だった。「ドトールコーヒー」は、コーヒー豆の焙煎や卸売業として1962年に会社を設立しているが、この思い出深い場所の名前を、会社名そして店名に用いたというわけだ。
店舗としてのドトールコーヒーショップは1980年、原宿に1号店をオープン。当時のコーヒーの価格は1杯150円。これは、原価計算に基づいて決まったものではなく、「毎日でも気軽に飲める価格」という創業者の考えから生まれたもの。
また、コーヒーを提供するカップも画期的だった。当時は、紙コップが主流だったけど、ドトールは陶器のカップを採用したという。より本格的なコーヒーの味わいを楽しめるようになったのだ。
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