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リアルに描かれた「生きるための必死さ」

映画『若き見知らぬ者たち』より

映画『若き見知らぬ者たち』より


彩人というキャラクターを構築するために、磯村は実際に認知症の家族を介護する際の精神状態がどういったものなのか、当事者の方のお話を聞く機会があったという。

家族の絆の強さだけでなく、その裏に潜む脆さや葛藤にも触れ、「どんなに愛情があっても、限界がきてしまう瞬間がある。家族の崩壊はいつ起きてもおかしくない」という現実を実感したという。

「自分も理不尽な経験をしたことがあるので、彩人の葛藤や、家族のために自分を犠牲にする姿を自然と投影することが出来ました」。

磯村の人生経験が、彩人というキャラクターを作り上げる上で大きな影響を与えていることが伺える。

映画『若き見知らぬ者たち』より

映画『若き見知らぬ者たち』より


撮影現場でも、磯村はその感情を全身で表現した。寒風が吹き荒ぶ中、冷たい空気を体に感じながら、彩人の抱える孤独や苦悩をリアルに体現。

「寒さすらも演技の一部でしたね」と笑顔で振り返りながらも、彼は極限まで自らを追い込み、彩人の「生きるための必死さ」を鮮明に描き出した。


4/7

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