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2024.10.31

ライフ

やっぱり原宿は面白い!異質ながら街に溶け込むギャラリー「スタンドバイ」を探訪

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。

渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。


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箱型のアノニマスな建造物。その柱の隙間をくぐり抜けると、わずかな空間が広がる。ギャラリー「スタンドバイ」。

表参道のケヤキ並木から一本裏、キャットストリートに位置する、インスタレーションスペース。名前の由来は、ギャラリー「ザ・マス」の“隣に佇む”ように建てられているから。一帯の開発を担うエンワントウキョウが運営する。

吹き抜けの天井の下、責任者の新井暁さんとの会話が弾む。

渡辺 こんにちは。ここはいつ来ても不思議な場所だね。ギャラリーなのに、外との明確な境界がない。基本、誰でもフラッと入れてしまう。

新井 いわゆる美術館のような展示空間ではない自由なアートスペース。展示がないときは、道行く人の休憩場所にもなるようにと、あえて塀や扉を設けず、本当の意味で街に開かれた空間を作りたかったんです。

渡辺 すごくコンセプチュアル。用途が見えづらいのが逆にいい。インスタにもほとんど説明がないし(笑)。実はコーヒーとラテが飲めるキオスク的な機能もあったりして、素直にうれしい場所だと思う。

新井 2020年オープンで、草案段階では地下や2階のスペースを作ろうかという話もありました。でも結局、この形がベストでした。



渡辺 なるほど。僕は以前アディダスのイベントなどでここを訪れたことがあるけれど、暁くんとしてはどんな催事が印象深い?

新井 多岐にわたるので、なかなか絞りにくいですね……。例えば、AMKK、エデンワークスによる展示は印象に残っています。ロープアーティスト兼緊縛師のハジメキノコさんのインスタレーションでは、建物自体を縄で縛ったり。ここで何をしたら面白いか、自分たちから提案することもあります。

渡辺 暁くんたちの会社は、原宿でさまざまな仕掛けを展開しているよね。以前この連載で紹介したうどん店「麺散」もそのひとつ。

新井 この「スタンドバイ」の隣、「ザ・マス」も同じくギャラリーで、ここから少し離れた「ギャラリーコモン」などを手掛けています。

渡辺 表現できる場所を複数持っていて、ケース・バイ・ケースでディレクションできるのは本当に強いと思う。何か面白いことを始めたい人にとって、すごく頼れる存在。

新井 僕らは原宿にすごくお世話になりましたから。要は、クリエイティブの領域で原宿を盛り上げたいんです。世界的に見ても、ここは独特な街。ファッションなどを源とするそのチカラを維持しながら、アートや飲食を通して将来的にも世界の中心でいられるようにしたい。

渡辺 その感覚の都市デザインは、暁くんたちにしかできない仕事かもしれない。そのうえで、街や通りがかる人とシームレスにつながるこの場所は、とりわけスペシャルに見える。これからも期待しています。

——一見異質ながら、街に溶け込む空間。やはり、原宿は面白い。
スタンドバイ
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
電話番号03-6427-5834
営業:10:00〜19:00 不定休
s_tandby


若木信吾=写真 増山直樹=文

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