渡辺真史●1971年、東京都生まれ。ベドウィン & ザ ハートブレイカーズのディレクター。ローカルとインターナショナル、2つの視点で東京をクルージング。
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すべての写真を見る 渋谷、代官山、恵比寿。それぞれの駅から徒歩10分ほどの場所にある、小さな植物園。「渋谷区ふれあい植物センター」のエントランスで、園長の小倉崇さんが出迎えてくれた。
渡辺 こんにちは。この辺りはよく通っているはずなのですが、こんな場所があるなんて知りませんでした。
小倉 2004年に開園で、昨年7月にリニューアルしました。自称“日本一小さい植物園”ですから、見落としている方も多いようです。
渡辺 確かに敷地は狭いかもしれませんが、中に入ると空間としての完成度に圧倒されます。改装されたばかりとあって、併設されたカフェも含めて非常にキレイでモダンです。
小倉 園をより身近に感じてもらうため、リニューアル後は“食べられる植物”だけを展示しています。実際にカフェのメニューでも使用しているので、よろしければぜひ!
渡辺 ありがとうございます。ピザのいい匂いがして、さっきから気になっていました(笑)。植物は全部でどのくらい育てているんですか?
小倉 約100種類展示していて、最近ではカカオが仲間入りしました。新しいやり方で水耕栽培をしたり、昔この辺が茶畑だった頃の「渋谷茶」を復活させてみたり。マンゴーやホップの収穫は、来園者の方と一緒にイベント感覚で楽しみます。
渡辺 素晴らしい! 僕もぜひ参加したいです。そもそも小倉さんは、どんな経緯でここの園長に?
小倉 もともと渋谷で働いており、日々スクラップ&ビルドされる街を見てきました。剥がされたアスファルトの下の土を眺めていたとき、ふと渋谷でも畑ができるんじゃないかと考えたんです。
渡辺 すごい発想力ですね。
小倉 最初はビルの屋上の畑から始めて、その後アーバンファーミングのためのNPOを設立しました。この園は昨年のリニューアルに際して公募型のプロポーザルがあり、区の審議の末に我々が選ばれた形です。
渡辺 いいですね。そういった形の行政とのコラボレーションは、街の可能性をより広げていくはずです。
小倉 目指すのは「農と食の地域拠点」。ここで植物と仲良くなってもらい、最終的には自宅に何かのタネを持ち帰ってほしい。そのサイクルが確立できたらいいなと思います。
渡辺 みんなが少しずつでも植物を育てる。何かを減らす、抑制するという“マイナス”じゃなくて“プラス”によるグローバルウォーミングへの向き合い方も考えられます。シンプルだけど、未来的でもあるなと感じます。また遊びに来ますね!
——園内で輝く涼しげな緑の葉が、再会の手招きをしているように見えた。 渋谷区ふれあい植物センター渋谷の小さな植物園。ガラス張り全4階建ての園内には、植物の展示のほかカフェやギャラリーを併設。植物の生体電位を音にした“植物の音楽”も体験可能だ。夜はライトアップされ、より幻想的な雰囲気に。入園料は100円。
住所:東京都渋谷区東2-25-37電話番号:03-5468-1384営業:10:00〜21:00(月曜定休、祝日または振替休日の場合は翌平日)shibuyakufureai