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在日外国人の約7割が「日本人の口臭にガッカリした経験がある」と回答した調査(※オーラルプロテクトコンソーシアム調べ)が、日本歯科新聞(2015年10月13日号)をはじめ、各メディアで掲載されて話題になった。
そのアンケートから10年近く経った今、外国人との接点も増えているが、日本人の口腔内環境は改善されているのだろうか?
口臭治療の最前線で活躍する歯科医師・本田俊仁先生に、口臭ケアの現状と解決法をお聞きした。
話を聞いたのはこの人! 本田俊仁さん●医療法人慈慶会 ほんだ歯科 院長。1990年代に口臭外来を開設した「ほんだ歯科」を引き継ぎ、2023年秋に現職に。口臭専門医として、歯科医師向けの口臭の無臭化に関するセミナーなどの講師としても活動。
日本人の口臭は本当にクサイのか?
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――外国人の方が、日本人の口臭にガッカリしたという調査結果がありました。まずはその要因について教えてください。 体臭もそうですが、口臭は生活習慣が大きく影響します。日本の食生活では、醤油や漬物、納豆など、発酵食品が好まれてきましたよね。普段食べているもののニオイは口臭に影響があるので、外国人の方からしたら、発酵のちょっと腐敗したような独特なニオイを日本人に感じることがあるのかもしれません。
日本人は人との距離感を保ちますが、諸外国はキスやハグをする文化があるので、そもそも口臭や体臭に気をつかっている方が多い印象です。
――人と距離を保つスタイルの日本人は、口臭を気にしない人が多いのでしょうか? むしろ逆で、約9割の方が口臭が気になった経験があるという報告(※口臭白書 2019年)があります。「気にしている」と「悩んでいる」というのは違いますが、多くの方が口臭を気にしています。
にもかかわらず、歯磨きや口臭に対する正しい知識は、あまり浸透していない現状があります。その背景には、アメリカではむし歯を治すのに1本5万円以上かかることも珍しくありませんが、医療制度が恵まれている日本では2000円程度で済みます。むし歯や歯周病などの疾患を他の先進国に比べ安価で治せるため、予防の意識が低く、根付きにくい傾向がありました。
ただ昨今は、口腔環境を整えておくことが、病気の予防や全身の健康につながるということがわかってきて、日本における歯科の予防意識も変わりつつあります。
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