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もっと理解を深めたい。口臭で知っておきたいこと

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――口臭は常に臭うものでしょうか?

「病的口臭」というものがありますが、それは糖尿病や腎臓病などの身体的な病気が原因です。病気の影響で作られる物質が血液にのって全身を巡り、それが呼気に出ます。病気が原因の口臭は、四六時中臭います。 

――歯周病も病的口臭のひとつで、四六時中臭いのでしょうか?

はい。しかも歯周病の方の口臭は、まさに生ゴミ、下水のようなニオイ。歯周ポケットの中で活発に動く歯周病菌は、悪臭を放ちます。出血をともなっていれば、さらに生臭くなります。

――逆に口腔内が健康な方でも、口臭はあるのでしょうか?


はい。健康な方でも口臭が起こる場合があり、それを「生理的口臭」といいます。寝起きや空腹時、緊張しているときなど誰にでも起こります。特に起きてすぐは「起床時口臭」と言って、100人いたら100人臭いです。

――ということは、1日のうちで口臭が強くなったり、弱くなったりするのでしょうか?

「生理的口臭」はずっと臭っているわけではありません。多くの方が特に口臭が気になるとおっしゃる時間は夕方5時くらい。「生理的口臭」の中には、前述したとおり、「空腹時口臭」や「疲労時口臭」というのがあり、夕方はお腹もすいてくるし、仕事の疲れも溜まってきます。口臭が発生しやすい条件が非常に揃ってくるので、注意したい時間帯です。

――ちょっと臭いかな? と不安に思った時にセルフチェックできますか?

結論からいうと、日常生活の中で口臭をセルフチェックすることは難しいです。

指に唾をつけて嗅いでみたり、マスクの内側を嗅いでみたり、みなさんご自分の口臭を知りたくて、色々試したことがあると思います。しかしそのニオイは、実際の口臭とはかけ離れています。

まず、唾液は乾燥させると臭くなります。またマスクの場合は、息の中に低濃度のガスが含まれており、マスクの内側はそのガスが蓄積されて臭くなるんです。

――では、どうしたら口臭を感知できますか?

口の中が「カラカラする」「ネバネバする」「酸っぱい感じがする」「苦い感じがする」などと感じるときは、口の中の環境が悪くなっている可能性があります。必ずしもそうではないですが、そういう感覚があるときは、普段よりも口臭レベルが高いとされています。

良かれと思ったことが裏目に。間違いがちな口臭ケアとは?

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――歯磨きをすれば、口臭を抑えることができますか?

そもそも歯磨きはニオイを取り除くというよりも、歯周病の予防などのために、ばい菌を取り除くことが一番の目的になります。噛む面だけでなく、ばい菌が溜まる歯の付け根のキワをしっかり磨くことが重要で、それが口臭ケアにもつながるということを理解しましょう。OCEANS世代は歯周病予備軍の方も多いので、磨き方を見直すことは必須です。

photoAC

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――歯磨きの回数を増やすと、口臭を抑えられそうですが……。

朝の寝起きと夜寝る前にしっかりと歯磨きをしておけば、むし歯や歯周病などの予防効果という意味ではそれ以上磨いてもあまり差はありません。

反対に歯磨きしすぎると、口の中の粘膜を傷めてしまったり、大切な唾液を減らしてしまうので口臭が起こりやすくなります。

ちなみにニンニクを食べた後など、食事由来の口臭を気にしてせっせと歯磨きする方が多いと思いますが……。この場合も病的口臭と同じように、血中にニオイ物質が移行し、呼吸とともに排出されるので、歯磨きをしてもニオイは無臭化できません。

――では口臭ケアでは、歯磨き粉選びが重要になりますか?

実は、自分に合った歯磨き粉を選べていない方は多いのです。口腔が健康な方が口臭に良かれと思って、殺菌剤がいっぱい入った歯磨き粉を使うと、口の中の必要な菌を殺してしまったり、粘膜を荒らしてしまったりして、結果口臭を引き起こすことにもなりかねません。マウスウォッシュも同様です。

――口臭を改善するにはどこがポイントになるのでしょうか?

もっとも重要なのが「唾液の質と流れ」になります。

なぜ寝起きの口臭が強いかというと、寝ている間は口の動きが止まるので、唾液の分泌量が減り、同時に寝ている間は細菌や汚れを流すという唾液の自浄作用も鈍くなります。すると口の中のばい菌が繁殖し、寝起きは口の中が一番汚い状態となるので口臭がひどいんです。

つまり、唾液をたくさん出して流すことが本来の環境をキープし、口臭の改善をもたらします。

――口を動かさないPC作業中なども、唾液量が減ってしまうのでしょうか?

そうなんです。今、若い世代を中心に「スマホ口臭」というのも問題視されているんですよ。

通常、口腔内は「安静時空隙」といって、1mm~3mmくらい上と下の歯が空いてるのが正常なんですが、スマホを見ているときは、下を向いているので無意識に食いしばりをしてしまい、口の中の空間が少なくなります。

そうすると本来自由に動く舌がきゅっと拘束されてしまう。そんなふうに舌が動かない時間が1日の中で増えれば増えるほど唾液量が減るため、口臭は起こりやすくなります。

――唾液の流れを良好にする方法はありますか?

下を向いていると食いしばりが起こり、唾液の流れが悪くなって口の自浄性が低下します。できるだけ水平の目線で、良い姿勢でいることを心掛けてください。

とはいっても、デスクワーク中心の方も多いと思います。そんな方は、定期的に上半身や首のストレッチを行い、身体の緊張を取りましょう。そして舌を動かすなど、舌のストレッチを行うことで、唾液の流れを自分の力で復活させることができます。


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