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国際イベントで実践されているリサイクル活動

ーーテラサイクルの回収・リサイクルのプログラムは、オリンピックや万博といった国際的なイベントでも実践されていますね。

エリック 2024年のパリ大会で日本代表とオーストラリア代表の選手が履いていたアシックスのシューズ「NIMBUS MIRAI」は、リサイクルが可能なランニングシューズです。テラサイクルがリサイクル工程の研究開発で参加し、使用後のシューズの回収のお手伝いもしています。アシックスとしても初の試みです。

アシックス「ユニバースミライ」

アシックス「NIMBUS MIRAI」


ーーリサイクルできるように作られたというのは、どのような素材なのでしょうか?

エリック アッパー部分が単一素材でできており、ソールは使った後に分解しやすい設計になっています。

リサイクルしてまた新しくシューズを作る前提で単一素材を用いており、使用後もリサイクルできるようになっているのが特徴です。

ーー来年4月から開催される大阪・関西万博では、テラサイクルが手掛けるリサイクルのプロジェクトが進行中ですね。

エリック 現在、全国のイオン750店舗以上でメーカーを問わず日用品の空き容器を回収しています。回収物からリサイクル原料を作り、大坂・関西万博の中に設置するゴミ選別ステーションの資源回収箱を作る予定です。テラサイクルが運営参加特別プログラム「Co-Design Challenge」選定事業者に認定され、P&Gジャパンとイオンが協力パートナーとして参加しています。

ーー海洋保全を考えて、 日常生活の中でできることには、どんなことがありますか?

エリック 商品を選ぶときに、 環境にいいか悪いかを考えながら選ぶことが大切です。選択肢がある場合、ユーザーがエコな物を選ぶことで、メーカーはエコな物を売るようになる。リサイクル原料は、ヴァージン原料に比べてまだ高いですが、みんながエコフレンドリーなものを手にとるようになれば、価格も少しずつ下がっていくと思います。家具や服などは、長く使う視点で物を選ぶことも大切です。

※天然資源をもとにつくられる原料



ーーテラサイクル、Loopともに、今後挑戦してみたいことはありますか?

エリック 回収やリサイクルのやり方をさらに改善していきたいですね。今も取り組んでいる最中ですが、ひとつは、回収するときの環境負担を減らすことを目標としています。

例えば、すでにゴミの収集運搬をしている会社や中間処理業者や廃棄物処理業者などたくさんありますので、そういう企業と手を組んで、テラサイクルが回収を行いリサイクルを行えば環境負担を軽減できると思います。

また、2024年にスタートしたばかりですが、有料のリサイクル袋を作りました。「ゼロ・ウェイスト・バッグ」と名付けBtoBで神戸市内で販売しています。

事業者が対象なので、例えばヘアサロンで使用済みのカラー剤やシャンプーボトルなどを専用バッグに詰めていただき、廃棄物収集業者がそのバッグを集荷し保管します。そしてある程度の量が溜まったらテラサイクルに送ってもらうという流れです。こうすればテラサイクルが新たに回収に回るよりも、CO2排出を削減でき、焼却量も減らすことできますよね。

これからも環境負荷を減らせる部分、減らす方法を考え実践していきたいと日々考えています。


地球を守るとひと言に言っても、実際に行動に移すのは難しい。エリックさんは多くのプレーヤーを巻き込みながら、環境負荷軽減のため着実に行動へ結びつけていた。

そんなエリックさんの背中を見て、普段の生活でゴミを減らすためにできることを考え直そう。例えばエコバックを使う、マイボトルを持つでもいい。地球を守るために小さなことから行っていこう。

豊田和志=写真、佐々木 彩=取材・文

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